2008年にアメリカのグループから
発表された論文では、
麻酔状態からの回復プロセスに、
オレキシンが関与していることが分かった。
脳内のオレキシンが欠損すると、
ナルコレプシーと呼ばれる睡眠発作が起こる。
言い換えれば、オレキシンは、
覚醒を維持するのに重要な分子だ。
マウスの脳内でオレキシンをつくっている
神経細胞のはたらきは、
全身麻酔状態では強く抑制される。
麻酔は、覚醒のシグナルを低下させるのだ。
ただ、オレキシンをつくる神経細胞を破壊しても、
麻酔は通常通り作用する。
麻酔の導入にはそこまで大きく関与しないのだ。
その一方、
オレキシンがないと、
麻酔からの回復が遅れることが分かった。
麻酔から目覚める際に、
オレキシンが一定の役割を果たしているということだ。
麻酔によって強く抑えられていた
オレキシンの分泌が、
麻酔の投与を止めることによって再開し、
覚醒への回復を裏打ちしている。
そして、
おそらくは意識の出現にも関わっている。