とある「銅化合物」が脳の “ゴミ掃除ポンプ”を修繕、 マウス実験で記憶力が 約44%向上  アルツハイマー病治療に期待


2026/6/26

とある「銅化合物」が脳の “ゴミ掃除ポンプ”を修繕、 マウス実験で記憶力が 約44%向上  アルツハイマー病治療に期待

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

とある「銅化合物」が脳の

“ゴミ掃除ポンプ”を修繕、

マウス実験で記憶力が

約44%向上 

アルツハイマー病治療に期待

 
 
 
 

2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、

世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を

独自視点で厳選、解説する。

 

オーストラリアのモナシュ大学などに所属する

研究者らが査読付きの学術誌

ACS Chemical Neuroscienceに発表した論文

 

Cu(ATSM) Restores Blood‐Brain Barrier Abundance

of P-Glycoprotein and Improves Cognitive Function in the

APP/PS1 Mouse Model of Alzheimer’s Disease」は

 

銅をベースにした薬剤がアルツハイマー病の

原因となる有毒タンパク質の蓄積を減らし、

マウスの実験において記憶力を回復させることを

示した研究報告だ。

脳の血管が持つ老廃物の排出機能を修復するという。

 

 

photo
 
銅のイラスト(絵:おね

 

アルツハイマー病は、

脳内にアミロイドβと呼ばれる有毒なタンパク質が、

いわば脳のゴミとして蓄積することで進行する。

 

 

健康な状態であれば、

血液脳関門(脳にある血管の壁)にある

「P糖タンパク質」

(P-gp)ポンプという特殊な排出装置が、

このゴミを脳の外へと運び出してくれる。

 

しかし、

病気になるとこのポンプの働きが鈍り、

有害な物質が脳内に溜まり続けてしまう。

 

 

今回のマウス実験で使用された

Cu(ATSM)という銅化合物は、

この低下したポンプ機能を回復させる働きを持つ。

 

研究チームによると、

薬の投与によって脳内のポンプの量が約24%増加し、

ゴミを排出する能力が再び活発になったという。

 

 

photo
 
 
マウスへのCu(ATSM)投与実験における流れ
 
 

その結果、56日間の治療で有毒な

アミロイドβが42%減少し、

空間を認識する記憶力も約44%

向上するという効果が確認された。

 

 

この薬剤が持つ強みは、

人間への実用化に向けた道のりが

比較的短いと予想されること。

 

新薬をゼロから開発するには

通常膨大な時間がかかるが、

Cu(ATSM)はすでにパーキンソン病や

 

ALS(筋萎縮性側索硬化症)といった

別の神経疾患向けに安全性の

テストが進められている。

 

そのため、

アルツハイマー病の患者を対象とした

臨床試験へもスムーズに

移行できる可能性が高い。

 

 

 

<参考:  > 

 




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