より「6年」早い、
量子コンピューター
“実装前夜”「100兆円市場」
の争いとは?
ここ2~3年ほどの間に、
量子コンピューターの世界で「誤り訂正」をめぐる
ブレークスルーが相次いだ。
これによって誤り訂正の技術ロードマップは
一気に前倒しが進み、
100兆円規模とも言われる量子市場をめぐる
競争軸が大きく動き始めている。
いまや各国政府、ビッグテック、
量子スタートアップ、そしてユーザー企業までが、
量子コンピューターがもたらす
「計算革命」に向けて走り出している。
その中で日本はどこに立ち、
何を強みに戦うべきなのか。
デロイト トーマツ グループで
量子技術統括を務める寺部雅能氏に、
量子コンピューターの潮流、
期待されるアプリケーション領域、
世界における投資の状況と日本の立ち位置について、
俯瞰的に聞いた。
「実装前夜」の量子コンピューター
「最大のブレークスルーは
誤り訂正技術の大幅な進展ですね」
ここ2~3年で量子コンピューターを取り巻く
空気がガラリと変わった理由を、こう切り出す。
量子コンピューターは、
量子力学に基づく
「量子ビット(qubit)」を計算に使用する。
この量子ビットは熱、振動、
電磁波といった外部ノイズに弱く、
計算の途中でエラーが頻発する。
このため、
「誤り訂正技術」を本格的に実装できなければ、
どれだけ量子ビットを増やしても
実用レベルの計算はできない。
「2030年ごろに実現し始めると言われていた
誤り訂正技術が、
2023~2024年にかけて次々と
実機で実証されました。
一気に6~7年分の時間が“巻いた”
という感覚です」
ここ1~2年ほどの間に、
QuEra(キュエラ)、
Google(グーグル)、
Atom Computing(アトムコンピューティング)、
Microsoft(マイクロソフト)などが、
量子ビットの生成や誤り訂正の精度向上といった
重要なマイルストーンの達成を、
次々に報告している。
こうした誤り訂正技術の進展を背景として、
各国政府、投資家、事業会社の間で、
量子コンピューター実用化時期の前倒しへの
期待が一気に高まっていると言えよう。
その結果、
量子コンピューターの研究開発に世界の
資本がなだれ込む状況になり、
ユニコーン級スタートアップも既に
複数存在する状況となっている。