「脳の老化を音響で
食い止める」…!?
64個のスピーカーから
発される音で精神を刺激する
「不思議な覚醒法」を試してみた。
「脳の老化」に終止符を
ここ数年、
私がまざまざと突きつけられているのは、
「脳の老化」である。
テレビやYouTubeの収録などで、
自分よりひと回り以上年下の若者と
接する機会があるのだが、
若い人たちは総じて会話のテンポが速い。
話についていけず、
ひとり静かに落ち込むこともしばしばだ。
昨年末、
M―1ファイナリストの若手コンビ
「めぞん」のネタを見たときもそうだった。
内容がほとんど頭に入ってこず、
「これはネタ以前の問題では?」と、
しっかり凹んだ。
そんな悩みを抱えていたときに出会ったのが、
サウンドクリエイターの瀬戸さんである。
立体音響の先駆者として各地の
イベントに引っ張りだこで、
'24年には「291chをひとつの
サウンドシステムから操った人物」として
ギネスにも登録された。
その一方で、
「音響による脳の覚醒」を研究しているという。
第一印象は、
「会話のテンポがいい人」、
そして「50歳という年齢の割に、
肌が妙にツヤツヤしている人」だった。
瀬戸さんいわく、
「脳が覚醒すると見た目も若返って
キラキラする」のだという。
ならばぜひ試してみたいと、
都内にある瀬戸さんのラボを訪れた。
ラボの半地下には、
壁や天井、さらには格子床の下まで、
64個のスピーカーが配置されたスタジオがあった。
この空間そのものが、
脳を覚醒させるマシンなのだという。

まずは分かりやすく効果を体感するため、
市販のJポップをかけてもらった。
MISIAの「Everything」だ。
照明を落としたスタジオの中央で目を閉じて
椅子に腰掛ける。
第一小節からすでに様子がおかしい。
360度からMISIAの歌声が迫ってくる。
目の前で歌っている、
というレベルを超えて、
もはや彼女の子宮に宿った胎児として、
母の声に包まれている感じだ。
サビで繰り返される「ヨー、エブリシーング♪」は、
神のお告げにすら聞こえ、
なぜか万能感がみなぎってくる。
脳を若返らせる魔法の音源
次に流してもらったのは、
瀬戸さんが自らアマゾンの奥地で
採音してきたサウンドスケープ(音風景)だった。
風にそよぐ草木や動物たちの鳴き声、
川のせせらぎ……5分ほど耳を傾けていると、
睡魔に似た感覚がやってきた。
しかしそれは眠気とは違った。
なんというか、
意識だけが奥へ沈んでいく感じだ。
アマゾンの景色が脳内に再生され、
鳥が囀る場面まで補完されていった。
トランス状態の一種かもしれないが浮遊感があり、
気持ちが落ち着く。
そんな状態で15分ほど過ごし、
スタジオに明かりが灯されると、
新しく生まれ変わったような感覚があった。
しかし、なぜアマゾンなのか。
「いわゆるパワースポットと呼ばれる場所には、
脳を覚醒させる周波数の音が
飛び交っていると考えています。
アマゾンだけでなく、
屋久島の原生林やアリゾナのセドナなど、
それぞれの場所の音に異なる
効果があるんです」


実名は明かせないが、
複数の芸能人やスポーツ選手が、
この小さなスタジオに通って音を浴びているらしい。
続いて試したのが、
超音波で脳をダイレクトに刺激する
「覚醒装置」だった。
これを使うと右脳が活性化し、
意識が拡張。
当然、脳は若返るわけである。
スイッチが入ると、
音はまったく聞こえないのに、
頭がくらくらする。
数秒で終わり、
今度はやけに頭がシャキッとした。
その直後、
信じられないことが起きた。
自分の口から勝手に言葉が……
「超音波の物理的な揺らぎが
神経系に作用して生まれた電気信号が、
意識の深部に影響している感じですね」
という小難しい言葉が、
私の口をついて出てきたのだ。
普段ならまず選ばない言い回しである。
しかも、
いつもの倍のスピードで舌が
勝手に回転したから驚いた。
自分で言っておきながら、
「誰? めぞんが憑依した?」と思った。
そして、
次に浮かんだのがこの疑問だ。
もしかして、
私の脳、ちょっと若返ってる?
科学的に正しいかどうかは別として、
普段なら思い浮かばないこんなセリフを口走ったのも、
覚醒した脳のなせる業だったとしか思えないのだ。
超音波の魔法が解けた今でも、
モーツァルトを聴かせて育てた肉牛くらいには、
音で品質向上できる余地が
私にも残されていると信じている。


そして、
ややリフトアップして
瞳がキラめいたことも追記しておく。
帰宅するなり、
普段は私の顔に無関心な旦那から
「なんか、子どもみたいな顔になってる!
脳覚醒って若返るんだね〜」と
驚かれたのだった。