アルツハイマー型認知症の 原因は「ウイルス」だった…? 研究者が明かす 「意外な感染経路」と 「今日からできる予防法」


2026/2/14

アルツハイマー型認知症の 原因は「ウイルス」だった…? 研究者が明かす 「意外な感染経路」と 「今日からできる予防法」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

アルツハイマー型認知症の

原因は「ウイルス」だった…?

研究者が明かす

「意外な感染経路」と

「今日からできる予防法」

 
 
 
 

アルツハイマー型認知症は

ウイルスによって引き起こされるーー。

 

英経済誌『The Economist』に取り上げられた

研究が話題を呼んでいる。

 

この研究を率いた

マンチェスター大学のルース・イツハキ名誉教授に

インタビューを敢行。

 

 

脳に侵入し、炎症を起こす

 

ヘルペスウイルスは、

ほとんどの人が感染しているといわれる。

 

それなのに、

なぜある人はアルツハイマー病を発症し、

別の人は発症しないのだろうか。

 

その分かれ目はどこにあるのか。

 

イツハキ氏によれば、ポイントは二つある。

 

一つは「ウイルスの特性」、

もう一つは「遺伝的な要因」だ。

 

「ヘルペスウイルスは、

感染してもすぐに症状が

現れるわけではありません。

 

むしろ、長年『潜伏状態』にあり、

何らかのきっかけで活性化する

という性質を持っています。

 

若い頃に感染しても、

何十年も症状が出ないことが珍しくないのです。

 

さらに興味深いのが、

APOE4という遺伝子を持つ人は、

ヘルペスウイルスに感染するとアルツハイマーを

引き起こすリスクが高いということです。

 

 

詳しいメカニズムはまだわかっていませんが、

おそらく、この遺伝子がウイルスの活動を

促進しているのだと思います。

 

ちなみに、

APOE4は日本人でも約10%が

保有しているとされる、

一般的な遺伝子です」

 

 

アルツハイマー病の引き金としては、

単純ヘルペスウイルスだけではなく、

 

水痘・帯状疱疹ウイルスも

関与している可能性が高い。

 

 

帯状疱疹は、

子どもの頃にかかる水ぼうそうのウイルスが

体内に潜伏し、

 

免疫力が落ちたときに

再活性化して起きる病気だ。

 

このウイルスも脳に侵入し、

ヘルペスウイルスと同様の

ダメージを与えると考えられている。

 

 

実際、

イツハキ氏らが'21年に発表した研究では、

帯状疱疹ワクチンを接種した人は、

 

アルツハイマー病のリスクが

低下することが示されたという。

 

 

 

【写真】ラルフ・ウォルド・エマーソン

「感染症が症状を引き起こすことはわかりましたが、

その詳細なメカニズムについてはまだ謎が残っています。

 

 

一部のウイルスは、

活性化すると神経に侵入し、

脳を保護する膜を突破する力がある。

 

そのせいで脳が炎症を起こし、

原因となる異常たんぱく質を

発生させているのではないでしょうか」(イツハキ氏)

 

 

帯状疱疹ウイルスとアルツハイマー病の関連については、

'25年4月にイギリス最大手の

『The Times』紙も大きく取り上げた。

 

今や、「感染説」は有力な仮説として

注目を集めているのだ。

 
 
 
 

治療薬開発に78億円が投資された

 
 

感染症は、

私たちが思っている以上に身近なところに潜んでいる。

 

ここである疑問を抱いた人もいるのではないか。

 

もしヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルスが

脳に侵入してアルツハイマー病を引き起こすのなら、

他の感染症はどうなのか―。

 

 

イツハキ氏の研究が世界的に注目されたことで、

堰を切ったように「感染症と

アルツハイマー病の関連」を示す

研究が次々と注目され始めた。

 

 

その中でも衝撃的だったのが、

アメリカはルイビル大学の

ヤン・ポテンパ教授の研究である。

 

なんと、

アルツハイマー病の患者の脳から、

ある病原菌が見つかったのだが―。

 

 

ポテンパ氏が解説する。

 

「アルツハイマー病で亡くなった患者の脳を調べたところ、

96%という非常に高い割合で、

 

『ポルフィロモナス・ジンジバリス(以下、PG菌)』と

呼ばれる歯周病菌が見つかりました。

 

驚くべきことに、

口の中の病原菌が脳に侵入していたのです」

 

 

【写真】ラルフ・ウォルド・エマーソン

歯周病に罹患している日本人の割合は高く、

成人の約8割が歯周病、

もしくはその予備軍だと言われている。

 

多くは30代、40代から始まり、

自覚症状が少ないまま進行する厄介な病気である。

 

PG菌にはどうやって感染するのか。

 

「PG菌は、歯と歯茎の境目に溜まった

歯垢の中に潜んでおり、

 

ほぼすべての人の口の中に存在します。

 

子どもの頃に親から感染したり、

友人とジュースを回し飲みする中で

自然にうつったりします。

 

ただし、若いうちは数が非常に少なく、

悪さをしません。

 

問題は大人になってからです。

 

口腔衛生が悪化すると、

PG菌が爆発的に増えてしまう。

 

この菌は『ギャングのリーダー』のような

性質を持っていて、

 

他の細菌を操り、

わざと歯茎の出血を続けさせるんです。

 

それによって、

PG菌が作り出す毒素が

血液に乗って脳へと運ばれ、

 

慢性的な炎症を起こす。

 

これがアルツハイマー病につながると

考えられます」(ポテンパ氏)

 

 

ヘルペスウイルスしかり、歯周病菌しかり、

誰もが罹りうる感染症がアルツハイマー病の

リスクを高める可能性があるというのは、

衝撃的な事実だ。

 

しかし、

原因がわかったことで、

治療や予防への道も開けてきたという。

 

 

 

予防薬の開発は進む

 

ポテンパ氏が続ける。

 

「私たちの研究をきっかけに、

PG菌が作る毒素『ジンジパイン』の働きを

止めるクスリが開発されました。

 

臨床試験では、

初期のアルツハイマー病患者の

認知機能低下を抑える効果が確認されたんです。

 

 

残念ながら副作用の問題で開発は

なかなか進んでいませんが、

 

現在、アメリカの国立老化研究所が

約78億円を投じて次世代の

クスリをつくろうとしています。

 

 

これは、

感染症とアルツハイマー病の関連を、

ついに医学界が真剣に受け止めた証拠です。

 

今後もアルツハイマーの予防薬や

進行を止めるクスリの開発が

進められることが期待されます」

 

 

【写真】ラルフ・ウォルド・エマーソン

ヘルペスウイルスに関しても、

同じように予防薬の開発が進んでいるはずだ

 

そう期待したいところだが、

現実はそう簡単ではない。

 

 

前出のイツハキ氏は、

大きな壁があると語る。

 

 

「これまで、ヘルペスウイルスに効く

抗ウイルス薬をアルツハイマー病患者に

投与してきましたが、

 

あまり効果は見られませんでした。

 

おそらく、

治療開始が遅すぎて、

脳の損傷がすでに進行してしまった

後だったからでしょう。

 

 

クスリは活性化したウイルスには効くのですが、

潜伏しているウイルスには効きません。

 

この課題を乗り越えないといけないのです。

 

ですから、

治療よりも予防が重要になります。

 

帯状疱疹ワクチンの接種が、

アルツハイマー病のリスクを

下げることはすでに

確認されています。

 

ワクチンによってウイルスの

再活性化を抑えることができれば、

 

脳へのダメージを減らせる可能性があるのです」

 

 
 
 

今日からはじめられる予防法

 
 

今後、

アルツハイマー病との関係が疑われる

感染症を食い止める予防薬や治療薬が

開発されることに期待したいが、

 

前出のポテンパ氏が強調するのは、

もっと身近で今日からはじめられる予防法だ。

 

それが口腔ケアと運動だという。

 

「予防という点で最も重要なのは、

口腔衛生を保つことです。

 

定期的な歯科検診を受け、

 

歯周病を早期に発見して治療する。

 

毎日の丁寧な歯磨きで、

PG菌の数を抑える。

 

それだけで、

何十年も後の脳の健康を守れる

可能性があるんです。

 

 

そして、もう一つ大切なのが運動です。

 

私自身、70歳ですが、

毎晩8キロ歩いています。

運動しない人は早く死にたいのでしょうか(笑)。

 

 

運動は脳機能を上げるだけでなく、

ストレスを低下させ、

免疫機能も高めてくれます」

 

 

【写真】ラルフ・ウォルド・エマーソン

長年「避けられない老化現象」と

思われてきたアルツハイマー病が、

 

実は予防可能な「感染症」かもしれない

覆りつつある定説は、

認知症との戦いに新たな希望ももたらしている。

 

 

予防薬の開発に期待しながら、

日頃からできることに取り組みたい。

 

 

 




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