大腸ポリープは切除する? がん化する確率は? 進行と治療法は?


2023/10/12

大腸ポリープは切除する? がん化する確率は? 進行と治療法は?

 
 
 
 
 

大腸ポリープは切除する?

がん化する確率は?

進行と治療法は?

/消化器専門医・千野晶子医師が解説

 
 

女性のがんの死亡数第1位である大腸がん。

 

大腸にできるポリープの種類や

がん化する確率、

また、

大腸のどこにできてどう進行するのか、

治療法やストーマ(人工肛門)まで、

Q&A形式でわかりやすく解説します。 

 

 

大腸がんについて知っておきたいことQ&A

 


Q. 大腸ポリープって何ですか? 

いずれがんになるものですか?

 

A. 5㎜を超えたポリープは

発見したその場で切除します

 

大腸ポリープは、

大腸の壁の粘膜層にできたものの総称。

 

いくつか種類があります。

 

大腸壁の粘膜にできたポリープは、

徐々に大きくなっていきます。

 

なかでも、

「腺腫性ポリープ」と

「鋸歯状(きょしじょう)腺腫性ポリープ」は、

増大したりがん化したりする可能性があります。

 

 

●大腸にできるポリープの種類はいろいろ

 
 

大腸にできるポリープの種類はいろいろ

 

 

「腺腫性ポリープ」と

「鋸歯状腺腫性ポリープ」は

腫瘍性ポリープとして治療(切除)します。

 

切除の目安は、

腺腫性ポリープが5㎜以上、

鋸歯状腺腫性ポリープなら10~20㎜以上です。

 

これらは良性のポリープですが、

下図のように、

大きくなるとがん化するリスクが高まります。

 

 

 

●良性のポリープががん化するリスク

 
 

腺腫性ポリープが、がんになる確率

 

 

どのポリープががん化していくかは、

大腸内視鏡検査で見てもわからないので、

5㎜を超えたポリープがあれば、

検査時にその場で切除したり、

後日切除をすすめられたりします。

 

 

 

Q. 大腸がんはどこに、

どうできて、どう進行する?

A. 粘膜内にとどまっていれば早期。

この段階で見つけたい

 
 

大腸の粘膜から発生したがんは、

進行するとともに、

大腸壁の粘膜層、さらに筋層と、

深部に進展していきます。

 

一般的には粘膜や粘膜下層に

とどまるがんを「早期大腸がん」、

それより深い筋層に達していると

「進行大腸がん」といいます。

 

腫瘍が粘膜下層より深く広がっている場合は、

リンパ管や血管を介して

リンパ節や大腸以外の離れた臓器

(肝臓、肺、腹膜など)に転移することがあります。

 

 

 

大腸の構造

 

 

 

大腸がんの広がり、

進行度はステージ(病期)で表されます。

 

下は大腸がんのステージを簡潔にまとめたもの。

 

ステージは壁深達度(へきしんたつど)

(T因子)、リンパ節転移(N因子)、

遠隔転移(M因子)の3つの因子を

組み合わせて決定されます。

 

壁深達度は内視鏡検査や

CT、MRI検査で判定され、

リンパ節転移や遠隔転移はCT、MRI、

超音波検査、PET検査で判定されます。

 

大腸でがんができやすい部位は、

直腸が29%と最も多く、

次にS状結腸26%と続きます。

 

 

進行度を表す5段階ステージ(病期)

 

●ステージ0

がんが大腸粘膜内にとどまるもの

●ステージⅠ

がんが筋肉の層までにとどまるもの

●ステージⅡ

がんが筋肉の層を越えて浸潤する

●ステージⅢ

がんの深さにかかわらず、

リンパ節への転移を認めるもの

●ステージⅣ

がんの深さやリンパ節転移にかかわらず、

他臓器への転移を認めるもの

 

 

大腸がんのステージは0からⅣまでの

5段階で表記されます。

 

ステージは、がんの壁深達度、リンパ節転移、

遠隔転移の3つの因子を

組み合わせて決定されます

 

 

A. 早期なら内視鏡治療ができ、

すべて取り切ることが可能です!

 
 

がんが粘膜下層の浅い部分にとどまっている

ステージ0~Ⅰの場合は、

内視鏡治療が可能です。

 

一方、

粘膜下層の深くに達したり、

リンパ節転移がある場合は

外科手術が必要に。

 

ステージⅢ~Ⅳのリンパ節や

ほかの臓器への転移がある場合は

外科手術、もしくは抗がん剤治療が選択肢に。

 

大腸がんは、

手術で取り切れれば命を落とさなくてすむがんです。

近年は抗がん剤治療も進歩し、

最初はすべて取り切る手術が困難でも、

抗がん剤でがんを小さくして

取り切れるケースも増えています。

 

 

 

●大腸がんの治療法はステージによって変わる

 
 

がんの進行図

 

Q. ストーマ(人工肛門)ってどんなもの? 

どんな場合に、つけるの?

 

A. がんの下縁が肛門に近い場合、

内視鏡治療ができない直腸がんにつけます

 

人工肛門とは、

手術でお腹の壁から腸管の一部を出し、

開いて固定したものです。

 

自分の意思で排泄コントロールができないので、

専用の袋を取りつけて排泄物を受け止め、

たまったらトイレに流します。

 

人工肛門が必要なのは、

直腸がんの中でもがんの下縁が

肛門近くにできたがんで、

手術が必要と判断された場合です。

 

 

 

<参考:消化器専門医・千野晶子医師>

 

 

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