100歳超なのに認知症と無縁、
脳が元気ハツラツの
「スーパーエイジャー」になれる人の
"シンプルな日課"
何歳になっても元気な人の脳は何が違うのか。
脳内科医の加藤俊徳さんは「機嫌がよい人は、
認知症を引き起こす脳の老廃物が溜まりにくい。
脳の機嫌値を上げ、
健康長寿につながる2つの習慣がある」という。
健康長寿者に共通する「最高の機嫌脳」
私の人生を振り返ると、
脳のすごさを突きつけられるような
奇蹟的な出会いが幾度もありました。
その1つが、
機嫌脳の存在に気がつくヒントとなったある番組です。
20年前に2回にわたり放映されたNHKスペシャル
「老化に挑む(1)――あなたの脳はよみがえる/
(2)――あなたの寿命はもっと延びる」で、
脳科学監修として参加した私は
「百歳超えのスーパーエイジャーは、
おしなべてストレス耐性が高く、
毎日、楽しく活動的で、
人生を謳歌している」という調査結果を示しました。
四半世紀近く経った今、
世界の認知症研究者らが、
同じことを当然のように指摘しています。
20年前の調査結果をひと言でまとめれば、
つまり、「健康長寿の人は、
おしなべて上機嫌である」ということになるでしょう。
ここでそのメカニズムを脳科学的に少し解説すると、
鍵はセロトニン、ドーパミン、メラトニンです。
別名「幸せホルモン」とも呼ばれるとおり、
セロトニンにはストレスを軽減し、
精神を安定させる効果があり、
結果的に、
意欲や活力を司るドーパミンの分泌を助けます。
さらにセロトニンは分泌の約12時間後から、
睡眠を誘発するメラトニンというホルモンに変換されます。
すると良質かつ充足した睡眠が可能になり、
翌日の目覚めもよくなるのです。
脳の機嫌値を上げる2つの習慣
この循環が生涯にわたり続くことは、
つまり生涯にわたり上機嫌であるということ。
健康長寿の人の脳内では、
①セロトニンの幸せ効果→ドーパミンによる活力、
②セロトニン→メラトニン変換による快眠という
「上機嫌リレー」が起こっていると考えられるのです。
このリレーには、
「適度な運動、特に朝日を浴びて歩くこと」と
「睡眠の質・量ともに充実させる習慣」が欠かせません。
というのも、
上機嫌リレーの始点とも言えるセロトニンは、
太陽の光が網膜に入り、
脳の視床下部というところに達することで分泌されるからです。
セロトニンは分泌の約12時間後から
メラトニンに変換されます。
たとえば、朝7時に朝日を浴びれば、
19時から徐々に眠くなる。
快眠につながる脳内の上機嫌リレーには、
太陽の光のなかでも「朝日」を浴びることが
効果的ということです。
このように「朝日を浴びて歩くこと」と
「質・量ともに十分な睡眠習慣」が脳の機嫌値を上げ、
生涯にわたる上機嫌、
そして認知症(特にアルツハイマー型認知症)と
無縁の健康長寿につながると言えます。
ハッピーでピースフルな状態を蓄積する
また、よく歩くことは、
足腰から全身の健康をつくってくれます。
「健康的にキビキビ動ける身体」もまた、
上機嫌の源であることは言うまでもありません。
睡眠も運動も毎日のことです。
毎日、睡眠と運動を充足させることで、
上機嫌という「脳のご機嫌貯金」が増えていきます。
そんなハッピーでピースフルな状態の蓄積が、
認知機能の維持につながることは、
最新の脳科学でも明らかにされてきています。
逆に睡眠不足と運動不足が続くほどに、
不機嫌という「機嫌負債」が溜まります。
すると自分の不機嫌に無自覚なまま、
わけもわからず能率が下がったり、
笑顔が消えて周りと
ギクシャクしたりすることが多くなるでしょう。
そう考えると、
人の不幸は、自分の機嫌のコントロールについて
無為無策であることから始まると
言ってもいいかもしれません。
根本的要因である睡眠習慣と運動習慣を
改善せずに不機嫌なままでは、
行く末は認知症や寝たきりという
余生になるかもしれません。
ならば、今から、できるだけ、
脳のご機嫌貯金を増やしていく。
そうすることで、
「元気で長生きの幸せな人生」を
叶えていけるというわけです。
老廃物が認知症を引き起こし、
機嫌も悪くなる
深山幽谷しんざんゆうこくでの山伏修行をしても
100歳を超えても元気な「センテナリアン」の
境地には、なかなか到達できるものではありません。
そこで私は、
センテナリアンの機嫌の秘密を知りたいと、
国際的に認知症予防の研究と実践をしている
アルツハイマー病協会主催の国際会議に
10年以上参加しています。
今年(2025年)は、
カナダのトロントでAAIC2025が開催されました。
認知症予防のための最先端の情報が
この国際会議を介して世界に発信されていきます。
現状、認知症の予防としては、
脳に老廃物であるアミロイドベータが
溜まらないようにする対策が
必要だと考えられています。
認知機能の低下は、
40代頃から15〜20年かけて進行していきます。
脳に老廃物が溜まっても今すぐ本人の
機嫌に影響するものではありませんが、
時間が経つにつれ、
老廃物が認知症を引き起こし、
機嫌も悪くなるというのが脳の老化のしくみです。
すなわち、
脳の老廃物により、
意識しないままに機嫌負債が
蓄積している可能性があるのです。
一日いちにちを朗らかに、楽しく過ごす
そのため、国際的には、
14のリスク要因に分けて、
認知症を約45%予防する目標を立てた
プロジェクトが進行しています。
特に高リスクの因子は、
難聴と高LDLコレステロール値で、
次に、社会的孤立と教育の不足が続きます。
そしてもっとも重要なことは、
「一日いちにちを朗らかに、楽しく過ごすこと。
クヨクヨとマイナス思考にならず、
気分をアゲアゲにして過ごすこと」です。
「最高の機嫌脳」を見せてくれた
センテナリアンの性格こそが、
脳の老廃物であるアミロイドベータを
溜まりにくくするということまで明らかになっています。
要するに、機嫌がよい人は、
脳に老廃物が溜まりにくいのです。
逆に不機嫌が持続することで、
「機嫌負債」が増え続けることがわかります。
不機嫌にならず、
積極的にご機嫌貯金をすることが、
最高の機嫌脳へのアプローチ。
機嫌負債は、
今この瞬間からでも、ニコニコと口角を上げ、
笑顔をつくることで減らすことが可能です。
運動系と感情系の脳番地が刺激され、
脳を快状態へと導くことができます。
次に示した「機嫌脳チェックリスト」も、
センテナリアンの共通点を基準にし、
形にしたものです。
私自身、
センテナリアンの境地に1ミリでも近づけるよう日々、
試行錯誤を重ねています。