金属なくして、
生命の誕生も進化もありえなかった!
鉄やカルシウムが重要なのは常識ですが、
私たちの体内には、
他にもマグネシウムや亜鉛、銅やマンガン、
モリブデンなどの金属元素が含まれています。
これらの金属は、
体内にわずか1%以下しか存在しない
微量元素ですが、
「微量」の名前とは裏腹に、
多種多様で、きわめて重要な役割を果たしています。
いったいどんな役割なのでしょうか?
そして、「多すぎ」ても「少なすぎ」ても、
体調に異変をきたす理由とは?
生命と金属の奥深い関係を解き明かす
話題の本『生命にとって金属とはなにか』から、
読みどころを厳選してお送りします!
地球環境を一変させた
「新しい生物」
海の中で誕生した生命は、
悠久の長い年月をかけてゆっくりと進化していったが、
およそ30億年前に、
地球の環境を一変させる新しい微生物が姿を現した。
その微生物は、
強い太陽の光を使って大気中の
二酸化炭素と海水中の水から
有機物をつくり出す生物であり、
最初の光合成生物であった。
有機物をつくる過程で、
酸素分子をも生み出し、
海洋中へと放出した。
「シアノバクテリア」と名づけられたこの微生物は、
現在もオーストラリア西部のハメリンプールに生息し、
その化石はストロマトライト化石として残っている。
25億年前の海底鉱床
シアノバクテリアはその後、
大繁殖し、酸素を溶かした海洋が誕生することとなった。
シアノバクテリアはおよそ4億年をかけて
酸素を放出し続けると同時に、
光合成によって大気中の二酸化炭素を取り込むために、
地球の大気組成をも変化させる役目を果たした。