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2024/10/18

生命の起源の謎! 最初の生命はどうやって 遺伝情報を翻訳したのかを解明

 
 
 
 
 
 
 
 

生命の起源の謎!

最初の生命はどうやって

遺伝情報を翻訳したのかを解明

 

 

現在地球に存在する生命体は、

 

遺伝情報を翻訳機(リボソーム)を使って

タンパク質に変換し、

自らの体を構築しています。

 

翻訳機(リボソーム)は遺伝「情報」を

タンパク質という「実体」に

変換する工場とも言えるでしょう。

 

 

ここで作られた種々のタンパク質は

遺伝子の自己複製にも使われおり、

 

翻訳機(リボソーム)は生命の存続のために

必要不可欠な存在となっています。

 

 

また幸運なことに、

翻訳機(リボソーム)を作るために必要な

設計情報は全て遺伝子に保存されており、

 

翻訳機(リボソーム)を使うことで

新たな翻訳機(リボソーム)の

生産も可能になっています。

 

 

しかしそうなると奇妙な

パラドックスが発生します。

 

遺伝子を機能させるには

上手く機能する翻訳機

(リボソーム)が必要であり、

 

その翻訳機(リボソーム)を作るには

遺伝子に翻訳機(リボソーム)の

情報が含まれていなければなりません。

 

 

つまり既存の理論ではニワトリと卵の関係のように、

遺伝子と翻訳機の関係は矛盾していたのです。

 

 

しかしドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学

(LMU)で行われた研究によって、

 

初期生命の遺伝子と考えられている

RNAそのものに翻訳機(リボソーム)なしに

 

アミノ酸の重合を独自に行う

機能があることが示されました。

 

 

事実ならば教科書に書かれた

生命誕生の過程に大きな変更が加わるでしょう。

 

 

しかし、

いったいRNAのどこに翻訳機

(リボソーム)を代替する機能があったのでしょうか?

 

 

 

生命の起源に迫る発見 

アミノ酸は酵素なしに

RNAだけでも重合すると判明

 
 
 
 
生命の起源に迫る発見 アミノ酸は酵素なしにRNAだけでも重合すると判明
 
生命の起源に迫る発見 
 
アミノ酸は酵素なしにRNAだけでも
 
重合すると判明 

 

 

地球に生命が誕生する以前、

地球の海は無数の化学反応によって支配された、

巨大で無秩序な反応炉でした。

 

 

しかしある時点で自己複製が可能な

RNA分子が形成され、

初期生命の誕生につながったと考えられています。

 

 

この考えは「RNAワールド仮説」として知られており、

生命の起源において有力な候補となっています。

 

しかしRNAワールド仮説には弱点がありました。

 

 

 

遺伝子を機能させるには翻訳機が必要で翻訳機を作るには遺伝子が必要
 
遺伝子を機能させるには翻訳機が必要で
 
翻訳機を作るには遺伝子が必要 
 
 
 
 
 
遺伝情報を実体のあるタンパク質
 
変換する翻訳機が必要です。
 
 
 

現在の地球生命は細菌から人間まで全て、

 

リボソームと呼ばれるRNAと

タンパク質の複合体が翻訳機の

働きを果たしています。

 

 

しかしこれらRNAとタンパク質を作るには、

リボソーム自体が必要となっています。

 

 

この奇妙な矛盾はRNAワールド

仮説にとって最大の障害でした。

 

 

そこでルートヴィヒ・マクシミリアン大学の

研究者たちは以前から、

 

翻訳において重要な役割をする

RNAの一種「tRNA」と

アミノ酸の関係を調べてきました。

 

 

tRNAは遺伝情報が翻訳され

タンパク質に変換される過程において、

要となる重要な役割を担います。

 

 

研究者たちがこのtRNAを調べたところ、

通常の4種類の塩基「A・U・G・C」とは

異なる非標準型の塩基が

含まれていることが判明しました。

 

 

また、この非標準型の塩基は

どの生物のRNAにも含まれており、

 

その起源は全ての生物の祖先(LUCA)

にまで遡ることが判明します。

 

さらに興味深いことに、

この化石のような分子のいくつかは

 

アミノ酸やペプチドといった

タンパク質の構成要素に結合する

(修飾される)機能があることが判明しました。

 

 

そこで研究者たちは、

これら非標準型塩基の位置を工夫

することができれば、

 

RNAだけでもアミノ酸を重合

できると考え、実験を行いました。

 

 

 

RNAの結合によってアミノ酸が重合していく
 
RNAの結合によってアミノ酸が重合していく 
 
 
 
 
ドナー鎖(供給側)の先端にアミノ酸と
 
結合できる非標準型の「t6A」と呼ばれる
 
塩基を配置し、
 
 
アクセプター鎖(貰う側)の最後尾に
 
アミノ酸と結合可能な別の「mnm5U」と
 
呼ばれる非標準型の塩基を配置しました。
 
 

(※両者の鎖は相補的な配列になっており、

自然な結合が可能になっています)

 

 

 

そして研究者たちが双方を混ぜたところ

僅かな熱でt6Aが破壊されて、

 

そのアミノ酸をmum5Uに結合していた

アミノ酸に渡している様子が確認できました。

 

 

またアミノ酸の受け渡しが完了すると、

両方の鎖が乖離して自然に分解していきました。

 

 

研究者たちはこのプロセスを

繰り返すことで、

 

最大15個のアミノ酸を連結させられる

ことを実験的に示しています。

 

 

これらの結果は、

翻訳機(リボソーム)を必要とせずに

RNAがアミノ酸を連結して

タンパク質を作れる可能性を示します。

 

 

(※タンパク質はアミノ酸の連結によって作られます)

 

 

まずRNAが先に作られた

 
 
 

RNAとタンパク質におけるニワトリと卵の問題が解決しました

RNAとタンパク質における

ニワトリと卵の問題が解決しました 

 

 

今回の研究により、

RNAはアミノ酸を独自に重合して

タンパク質を作れることが示されました。

 

 

既存のRNAワールド仮説では

RNAと翻訳機(リボソーム)の関係が

ニワトリと卵の関係のように

矛盾していましたが、

 

 

実験結果はRNAの生成が先立って

行われたことを支持しています。

 

 

また純粋な意味でのRNAワールドは

存在せず、

 

RNAとタンパク質は常に同じ分子内に

存在したと結論しています。

 

 

古代のRNAにも含まれていた非常に

歴史ある塩基には、アミノ酸によって

独自に修飾される機能があり、

 

結合と乖離の繰り返しによって

アミノ酸を伸長させることができました。

 

 

さらに、より長いRNAを用いた実験では、

RNAの複数の地点でアミノ酸の

重合が発生している様子も確認されています。

 

 

生命誕生の過程において、

RNAとタンパク質の関係は互いに

影響しあうことで、

 

生命機能の働きを担う遺伝子

機能的なタンパク質が誕生したと考えられます。

 

 

研究者たちはリボソームなどの

現在の地球生命において翻訳機を担う存在も、

 

原始的なRNAとタンパク質の

相互作用が積み重なって

形成されたと述べています。

 

 

もしかしたら未来の生物の教科書では、

RNAワールド仮説に続いて

「アミノ酸の重合は酵素なしに

RNAだけで起こる」という

一文が付け加えられているかもしれませんね。

 

 

<参考: > 

 

 

 

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