生き物にはなぜ無数の かたちがあるのか… 「進化のナゾ」を追う 古生物学の「斬新なアプローチ」


2026/7/5

生き物にはなぜ無数の かたちがあるのか… 「進化のナゾ」を追う 古生物学の「斬新なアプローチ」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

生き物にはなぜ無数の

かたちがあるのか…

「進化のナゾ」を追う

古生物学の「斬新なアプローチ」

 
 
  
 

1963年に創刊されて以来、

「科学をあなたのポケットに」を合言葉に、

これまで2000冊以上のラインナップを

世に送り出してきたブルーバックス。

 

本連載では、

そんなブルーバックスをつくっている

編集部メンバーによるコラムをお届けします。

 

その名も「ブルーバックス通信」。

どうぞお楽しみください!

 

夏休みといえば「古生物」

 

唐突ですが、

夏休みといえば「古生物」ですよね!

 

旅行先の博物館で今にも動き出しそうな

恐竜の化石を見たり、

発掘体験をしたり。

 

自由研究の題材としても、

お馴染みなのではないでしょうか。

 

 

古脊椎動物の全身骨格の発掘や、

貴重な化石標本との対話は、

太古のロマンあふれる古生物学の象徴でしょう。

 

しかし、

古生物学はそれだけではありません。

 

 

 

後ろ歩きやり方イメージギャラリーで見る

 

出土した膨大な化石群を数理的に解析し、

かたちの変化から進化の道筋をたどる,

そのような分野を、

「数理形態古生物学」といいます。

 

 

ふだんはあまり気に留めないですが、

生物には実にさまざまな「かたち」をしたものがいます。

 

貝類ひとつ取っても、

図鑑を開けば、美しく奇妙な貝殻の写真が、

無数のバリエーション存在しています。

 

 

そのような「かたちの多様性」は

どのように生まれたのか。

 

情報の限られた化石から、

その進化のシナリオをいかにたどるか。

 

謎に迫るための強力なサポーターとなるのが、

「数理解析」という手法なのです。

 

 

かたちの共通点クイズ

 

「数理と古生物? 

本当に関係あるの?」と疑っている人に、

見てもらいたい写真があります。

 

 

 

【写真】貝殻の多様なかたち

 

どの貝殻も個性的なかたちをしていて、

一見すると似ているものはなさそうですね。

 

しかし、これらの貝類のかたちには、

ある共通の性質が潜んでいます。

 

それは何でしょうか?

 

答えは「らせん」

殻がらせん状に巻いているのです。

 

笠型の巻貝の仲間も、

平たい二枚貝も、弓型のツノガイも、

よく見ればほんのわずかに巻いているのがわかります。

 

右下隅のニッポニテスはらせん状には見えませんが、

実は複数の異なるらせん形が交互に繰り返されて、

このようなかたちになっているのです。

 

 

なぜ、多くの貝殻が「らせん形」なのでしょうか。

貝殻は縁に少しずつ殻物質を加えながら成長します。

 

縁のすべての部位に同じ量を加えると、

円筒状の殻になります。

 

一方、部位によって加える量比が異なり、

その量比が成長を通じて変わらず、

かつ殻の中の軟組織が一定の割合で増大した場合に、

「らせん形」の貝殻がつくられるのです。

 

 

 

かたちと生物進化

 

そもそも生物は、

系統ごとに基本的な体のつくりを

共有していることが多いといいます。

 

それは、

「共通祖先」から枝分かれしながら進化した

結果と考えられています。

 

貝類は、その進化の歴史のなかで、

「殻がらせん状に巻く成長様式」を

祖先由来の共通性として保持しつつ、

 

「巻き方」のバリエーションを増やしてきたのです。

 

かたちの数理的共通点から生物進化の

ビッグ・ヒストリーへ――。

 

一気に壮大な話につながって

驚いた人もいるかもしれません。

 

このように、

化石や生物のかたちに「数理のまなざし」を向けたとき、

何が見えてくるか。

 

それを紹介するのが、

『かたちと進化の謎』という本です。

 

 

後ろ歩きやり方イメージギャラリーで見る

 

 

この夏休みは、ぜひ本書を片手に、

ドライでデジタルなアプローチによる、

 

一味違った古生物学の世界を

覗いてみてはいかがでしょうか? 

 

日常の風景も違って見えるかもしれませんよ!

 

 

 




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