第一章 副腎疲労とは何か 

 

ストレス対応ホルモンが不足する副腎疲労

 

先述した通り、副腎疲労は、

長期間のストレスや強烈なストレスが加わった場合、

 

また一つひとつは小さいけれど数多く

重なったストレスがある場合などに起こります。

 

 

ストレスの量が多過ぎると副腎と脳の

連携がうまく取れなくなり、

 

ストレスに見合う量の副腎ホルモン

(ストレス対応ホルモン)を作れなくなってしまいます。

 

 

さらに、

ストレスが長期間続き副腎が過剰に働き続けると、

副腎ホルモンを通常量作ることができなくなってきます。

 

 

副腎ホルモン

(ストレス対応ホルモンであるコルチゾール)が

極端に低下する「副腎不全(アジソン病)」

という疾患がありますが、

副腎疲労はアジソン病とは異なります。

 

 

アジソン病は治療しなければ

生死に関わる病気です。

 

アジソン病では採血検査でストレス対応ホルモン

(コルチゾール)の極端な低下が必ず見られ、

一生ステロイドを飲み続けなくてはなりません。

 

 

一方、

副腎疲労では、アジソン病のように

ストレス対応ホルモンの病的な

異常値は血液検査で認められません。

 

 

副腎疲労の検査には、

尿中のステロイド代謝産物を調べる検査や、

作用を発揮する活性型のホルモンが

どのくらいあるか調べる唾液検査があります。

 

活性型のストレス対応ホルモンは、

血液検査では調べることができません。

 

 

「ストレス対応ホルモン」とは

 

そもそも「ホルモン」はどのようなものでしょうか? 

 

ホルモンとは、

血液と同じくらい重要で、

心身の健康を維持するための大切な物質です。

 

 

ホルモンは体のさまざまな働きを調節しています。

 

皆さんも、

女性ホルモンなどは聞いたことがあると思います。

 

そのような「○○ホルモン」が、

人の体には実は100種類以上あります。

 

 

ホルモンは血液を通して体のさまざまな

部位に情報を伝え、

 

機能を調節しています。

 

例えば脱水の時は、

血圧を維持させるホルモンや、

腎臓に作用して尿として体から水分が

逃げるのを防ぐホルモンが出ます。

 

体の中や外で状況の変化が起きても、

体の働きが常に同じ状態を

維持できるようにしているのです。

 

 

さて、

副腎疲労で問題となる

「ストレス対応ホルモン」ですが、

 

これは何種類かある「副腎ホルモン」の

中の一つの「コルチゾール」のことで、

副腎という臓器で作られます。

 

 

副腎の大きさは数センチ、

円盤状や半月状の扁平形で、

左右一対ずつあります〔図3〕。

 

 

 

 

1つは約4~5グラム程度です。

 

CT画像では線のように

うっすらと見えるだけです。

 

副腎は生命の維持に欠かせないホルモンを

産生する臓器で、

とても小さいのに非常に重要な働きをしています。

 

 

「コルチゾール」は、

「ストレス対応ホルモン」としての働き以外にも、

さまざまな作用を示すので、

私は「スーパーホルモン」とも呼んでいます。

 

 

 

具体的には、

 

○ストレスに対応する

○低血糖にならないように血糖を上げる

○炎症を鎮める

○免疫を調節する

○血圧を維持する

○一日のリズムを調整する

 

 

など、

たくさんの人の体に関する

重要な仕事をしています。

 

 

体の中のどこかで、

このスーパーホルモンの

すべき仕事の量が増えると、

脳から「もっと頑張れ!」と司令が来ます。

 

 

すると、

副腎もパワーアップして、

スーパーホルモンを増量し、

何とか仕事をやりこなします。

 

 

そして、

忙しい時期が過ぎると、

脳から「もうパワーダウンしていいよ!」

という指令が来て、

副腎も通常モードに戻ります。

 

 

副腎疲労のメカニズム

 

あまりにも多くの仕事をドカッと任されたり、

長く過労状態が続いたりすると、

 

脳もスーパーホルモンを作る副腎も、

何が何だか分からなくなり、

調節がうまくいかなくなります。

 

 

すると、

異常な指令が脳から出続け、

副腎が過剰に働いたり、

 

過重労働にも関わらず仕事を

すべてこなせなかったりします。

 

その状態が続くと徐々に

副腎が反応できなくなってきます。

 

 

例えて説明すると、

次のような感じになります。

 

有能な「副腎くん」は、

ブラック企業に就職してしまい、

 

最初は無理して何人分もの仕事を

頑張ってこなしていました。

 

 

なぜなら、

上司の「脳」が、「頑張れ! もっと頑張れ!」と

指令をガンガン送ってくるからです。

 

 

 

<参考: 山根 理子>