驚くべき「タコの知性」  パズルを解き、 道具を使い、 未来を読む


2026/1/21

驚くべき「タコの知性」  パズルを解き、 道具を使い、 未来を読む

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

驚くべき「タコの知性」 

パズルを解き、

道具を使い、

未来を読む

 
 
 
 
 

貝殻をシェルターとして使うメジロダコ

 

 

科学者が「タコの知性」の話をする時、

その言葉は畏敬の念を帯びるのが常だ。

 

その理由は明白だ。

 

頭足類に属するこの生物は、

進化において私たち人間とはまったく

異なる系統に属する。

 

系統樹では5億年以上前に分岐し、

その後は別々の道を歩んできたにもかかわらず、

 

タコは不気味なまでに人間に近い

行動や認知能力を持っている。

 

 

 

以下に紹介するのは、

タコが驚異的な知性の持ち主であることを示す、

科学的研究の裏付けのある5つの発見だ。

 

以下を見れば、

この生物が、

 

科学者たちが「知性」の定義を考え直す

きっかけになっている理由がわかるだろう。

 

 

1. 複数のステップが

必要なパズルを解く

 

タコの認知能力のエビデンスとして、

最も際立った事例の一つが、

タコに課題を解かせる実験だ。

 

『PLOS One』に掲載された研究では、

チチュウカイマダコ

(学名:Octopus vulgaris)の個体7匹に、

 

箱型のパズルを与えた。

 

このパズルは複数の部品からなり、

箱を開けて報酬を得るためには、

 

それぞれの部品を正しい方向に

操作する必要がある。

 

 

結果として、

7匹すべてがパズルを開けるのに

成功しただけでなく、

 

試行のたびに、

開けるまでの時間が短くなったという。

 

言い換えればこれらのタコは、

パズルを解こうと試みるたびに、

 

解決に至るテクニックを能動的に

磨いていた、ということになる。

 

 

これだけでは特に感銘を受けない、

という人も、研究チームがパズルのルールを

変えた後の話を聞けば、

 

きっと考えが変わるはずだ。

 

タコは、

それまで有効だった解決法に固執することはせずに

(他の動物では、こちらの道を選択することが多い)、

状況に合わせて戦略を変えたのだ。

 

 

新たなパズルを解き始める前に、

タコは新たなパズルの設定を確かめたが、

そのやり方は本当に思考しているように見えた。

 

このように、

丸暗記した記憶に頼らない

「アプローチの柔軟性」は、

高い認知能力があることを示す

最も明白な証拠の一つだ。

 

 

2. 短期と長期、

2種類の記憶を持つ

 
 

数十年にわたる頭足類の研究により、

タコには驚くほど強力な学習および

記憶システムがあることがわかっている。

 

例えば、

物体の違いを見分ける弁別課題の実験では、

形や触感、色、

さらには明るさのパターンについて、

違いを見分ける方法をすぐに学び取った。

 

 

しかしさらに注目に値するのは、

タコがこれらの異なる物体の違いを、

 

トレーニングからかなり経っても覚えていることだ。

 

属する種やタスクの内容にもよるが、

タコは数週間後になっても、

こうした記憶を保持していることがある。

 

『Animal Cognition』に掲載された、

マヤダコ(学名:Octopus maya)を用いた

2023年の研究も、この点を裏付けている。

 

 

 

 

 

3. 道具を使い、

未来に備えたシナリオに基づいて

計画することさえある

 
 

はるか前から、

道具は、地球上に存在する

高度な知性の絶対的基準と考えられてきた。

 

そして長年にわたり、

道具を使う行動を見せる動物は、

 

霊長類やカラス科の鳥、

そして(時折こうした行動をする)ゾウに

ほぼ限定されると考えられてきた。

 

 

しかし、

『Current Biology』に掲載された

2009年の研究では、

 

20匹以上のメジロダコ

(学名:Amphioctopus marginatus)を

観察した研究チームが、

 

タコがココナツの殻を集めていることに気がついた。

 

その後も観察を続けたところ、

タコはこれらの殻を海底のあちこちから運び、

 

さらにこれらを集めて隠れ家を作り上げる

様子が確認され、

研究チームを驚かせた。

 

これらの行動は、

真の意味で道具を利用していると

判断できる条件を、

ほぼすべて満たすものだ。

 

 

・タコは、意図を持って殻を選んだ


・さらに大変な作業であるにもかかわらず、

選んだ殻をかなりの距離にわたって運んだ

 

・タコがツールを使うことでメリットを得たのは、

のちにココナツの殻で

隠れ家を組み立てた時だった

 

 

特に、最後の項目に挙げた

「未来を見据えた計画性」は特筆すべきものだ。

 

動物がその時々でなんらかの物体を

活用するのは、

それほど珍しいことではない。

 

しかし、

たとえぎこちなく非効率なやり方であっても、

のちに必要になるからという理由で、

 

動物が1回ごとに数分をかけて、

海底のあちこちから物体を集めてくるというのは、

 

非常にまれなことだ。

 

これは、

知性の域を超えて、

タコには計画を立てる能力があることを

示している可能性がある。

 

 

4. 地球上では他に類を見ない

特殊な神経系統

 
 

タコの知性がこれほど好奇心を

そそる理由の一つは、

 

その知性のもととなる神経系統が、

私たち人間のものとあまりに大きく異なっている点だ。

 

 

比較のために記しておくと、

人間の場合は神経細胞(ニューロン)の

うちかなり多くが頭蓋骨に集中している。

 

一方、タコの場合は、

ニューロンが身体全体に分布している。

 

 

 

実際、『Cephalopod Cognition』に

掲載された研究で詳述されているように、

 

タコのニューロンのうち実に約3分の2が、

8本ある腕に集中している

(腕には脳の2倍以上のニューロンが分布している)。

 

それぞれの腕には、

独自の小型処理センターが搭載されていて、

以下のようなことが可能だ。

 

 

・腕を協調させた動き
・触感による探索
・物体表面の味を見る
・中央にある脳とは完全に独立した、腕ごとの判断を行う

 

 

 

タコが驚くほどの身体の協調が可能なのは、

前段で挙げた非中央集権的な構造を持つ

神経系統をもつことによるところが大きい。

 

タコは、

自らの腕を用いて、

別々の作業を同時進行で進めながら、

複雑な操作を行うことができる。

 

 

一方で、

タコの身体の中心部分にある本来の脳は、

食道の周囲をとり囲むドーナツ型の

構造の中に収められている。

 

脳には数十の脳葉(瘤状の領域)があるが、

それぞれが異なり、

特定の機能を持っている。

 

記憶や学習、感覚統合などに関わる部位だ。

 

 

特筆すべきは、

1匹のタコには約5億個のニューロンが

存在しているということだ。

 

これは、小型の哺乳類に匹敵する数だ。

 

 

5. 個体ごとに異なる個性や

意思決定のスタイルがある

 
 

前述の研究論文を通じて主張されている

論点として、

 

タコの個体は1つとしてまったく

同じ行動様式を示すものがない、

 

ということがある。

 

ゆえに、

10匹のタコにまったく同じ課題を与えた場合、

ほぼ確実に10通りの異なる

戦略が観察されるだろう。

 

 

2022年に

『Journal of Experimental Biology』に

掲載されたチチュウカイマダコに関する研究では、

 

こうした個体による「行動タイプ

(個性に相当するもの)」の違いを記述している。

 

大胆ですぐに行動を起こすタイプのタコは、

 

完全に見慣れない物体にも、

恐れ知らずの好奇心で腕を伸ばす。

 

一方、ためらいを示すタイプのタコもいて、

こちらは安全だと確信するまでは

物体に触れようとしない。

 

だが、さらに興味深いのは、

こうしたそれぞれの個体が持つ

行動パターンについては、

 

タコの個体の多くで、

時間が経過しても一貫性が見られることだ。

 

 

個体によってパターンに違いが

あるというのは重要なポイントだ。

 

なぜなら、

タコの行動が本能によって厳密に

プログラムされたものではない

ことを示しているからだ。

 

彼らは、

個体ごとに独自の好みや傾向

さらには気質さえ持ち合わせて

いるように見える──

 

まるで、私たち人間と同じように。

 

 

 

<参考: Scott Travers | Contributor

 

 

 



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