電子を失ったイオンが
脳の活動を生み出している
ニューロンの
電気信号を生み出しているのはイオンです。
具体的に言うと、
ナトリウムイオン(Na+)や
カリウムイオン(K+)が
ニューロン内に出入りすることで、
電気信号が生み出されています。
ナトリウムイオンもカリウムイオンも1価の陽イオン、
つまり電子1個分に相当するプラスの
電荷を帯びています。
これらはナトリウム原子、
カリウム原子からそれぞれ電子1個が
奪われてできたものですから、
私たちの心の仕組みにも電子がおおいに
関係していることになります。
ニューロンの重要な構造には、
遺伝情報を収めた細胞核などがある「細胞体」、
別のニューロンに信号を伝える
電線の役割を果たす「軸索」、
そして別のニューロンから信号を受け取る
「樹状突起」があります(図「ニューロンの構造」)。

図「ニューロンの構造」
ニューロンの内側は通常の状態では、
電気的にマイナスの状態
(外側に対してマイナスの電位)になっています。
一方、
ニューロンの外側は電気的に
プラスの状態になっています。
そしてニューロンが電気信号を発する際には、
軸索の根本の部分にある
「ナトリウムイオンチャネル」という“関所”が開き、
ニューロンの外側にあったナトリウムイオンが
ニューロンの内側に流れ込みます。
ナトリウムイオンはプラスの
電荷を帯びた陽イオンなので、
これによってニューロンの内側は一時的に
電気的にプラスになります。
これが電気信号となって、
軸索を進んで行きます。
家電製品の電源コードが
絶縁体の素材で覆われているように、
ニューロンの軸索もある種の絶縁体(髄鞘)で
覆われているのですが、
ところどころに絶縁体で覆われていない隙間があります
(軸索が髄鞘で覆われていないニューロンもあります)。
この隙間の部分にもナトリウムイオンチャネルが集まっており、
電気信号がやってくるとナトリウムイオンが流入し、
同じことが起きます。
こうして軸索を電気信号が進んで行くのです。
電気信号が発生すると、
その後、ナトリウムイオンチャネルは閉じます。
また、
ニューロンの内側から外側に
カリウムイオンチャネルを通して
カリウムイオンが流出し、
ニューロンの内側は元の電気的に
マイナスの状態に戻ります。