現代の日本では、
「アーユルヴェーダ=癒しのトリートメント」
というのがイメージが一般的です。
オイルマッサージやハーブ療法が
リラクゼーションとして紹介され、
アーユルヴェーダサロンの施術を
”ヒーリング”と捉えている方も少なくありません。
しかし、
これはアーユルヴェーダの本来の姿とは大きく異なります。
アーユルヴェーダとは、
単なる「癒し」ではなく、生命全体を統合的に理解し、
健康と長寿を追求するための科学です。
アーユルヴェーダの本質は
「癒し」ではなく「生命の科学」
「アーユルヴェーダ」という言葉は、
サンスクリット語の「アーユス(生命)」と
「ヴェーダ(知識・科学)」に由来し、
直訳すれば「生命の科学」。
その目的は、
病気の治療というよりも、
健康の維持、病気の予防、
そして長寿の実現にあります。
アーユルヴェーダでは、
病気になる前の微細な変化に気づき、
食事・ライフスタイル・ハーブ療法を通じて
体質に合ったケアを実践します。
それによって、
ドーシャのバランスを整え、
自然な健康状態を保つのです。
なぜ「癒し」として広まったのか?
日本で「アーユルヴェーダ=癒し」と誤解されがちなのは、
アビヤンガやシロダーラといった施術が
“気持ちいい”という体感を伴うからでしょう。
確かにこれらにはリラックス効果がありますが、
本来は医師の診断に基づき、
身体や精神の調整を目的とした治療行為です。
「癒しのマッサージ」、
「医療行為としての処方施術」
つまり、
”気持ちよさ”だけを切り取って伝えたことで、
本質とは異なるイメージが独り歩きしてしまったのです。
アーユルヴェーダ・セラピストは
「診断」をしない
日本では、
セラピストがドーシャ診断をして
「あなたは〇〇体質」と言う場面が見受けられますが、
本来の診断は医師の専門領域です。
インドでは、
医師の診断に基づき、セラピストは施術を担当します。
診断・処方・施術、
それぞれの役割が明確に分かれているのです。
医師の肩書きに惑わされないこと
また、
アーユルヴェーダ医師=すべて信頼できる、
というわけではありません。
医師であっても、
実践経験が少なく、
形式的な知識しか持たない人もいます。
BAMS
(Bachelor of Ayurvedic
Medicine and Surgery)は、
インドの国家資格として現代医学と
アーユルヴェーダの両方を学ぶ医師資格ですが、
臨床経験や在り方が伴ってこそ、
本当の信頼に値するのです。
信頼できる指導者を見極める4つのポイント
1. 実際の臨床経験があるか?
どのような患者をどれだけ診てきたのか、経験の厚みを見る。
2. 伝統的な実践を日常に取り入れているか?
ディナチャリヤや食事法などを、自ら実践しているかどうか。
3. 理論だけでなく、実践的なアドバイスをしているか?
生活の中で具体的に取り入れられる提案をしてくれるか。
4. 生徒やクライアントに実際の変化を生み出しているか?
教えを受けた人の健康や生き方に変容が起きているか。
「肩書き」ではなく
「在り方」と「実績」を見る
資格を持っているからといって、
必ずしも信頼できるとは限りません。
本当に大切なのは、
その人がアーユルヴェーダをどう生きているか
周囲にどんな影響と変化をもたらしているか
です。
アーユルヴェーダは生きる智慧
アーユルヴェーダは、
「学ぶもの」ではなく「生きるもの」。
表面的な癒しではなく、
根本から生き方を整える叡智であるということを、
今一度見直してみてください。
あなたが選ぶべきは、
肩書きではなく、
その人の実践と在り方です。