研究により、
がん診断を受ける前の運動習慣が、
がんの進行と死亡のリスクの減少に
関わる可能性が示唆された。
新しく発表された研究によると、
がんの診断を受ける前に
定期的な運動習慣があると、
病気の進行と死亡のリスクが
低下する可能性がある。
また、
比較的軽度の運動でも
有益である可能性が示唆された。
この研究は南アフリカの民間医療保険会社
ディスカバリー・ヘルス・メディカル・スキームと
南アフリカのウィットウォーターズランド大学、
およびカナダのウェスタンオンタリオ大学との
共同研究である。
この研究には南アフリカのステージ1の
がん患者28,248人の、
がん診断前の1年間の
身体活動データが用いられた。
その内、
乳がんおよび前立腺がんが最も多く、
研究対象の44%を占めていた。
調査は診断時の年齢、性別、
経済的および社会的状況、
既存の疾患の影響を考慮して行われた。
研究者らは、
身体活動レベルを「身体活動記録なし」
「低レベル(週60分またはそれ以下)」
「中程度から高レベル(週60分以上)」に分類した。
この研究での「身体活動」は、
少なくとも中強度の運動を意味し、
がん診断前の1年間の運動量に基づいて
分類を行った。
分析の結果、
がんの診断前の1年間に運動を
全く行っていなかった人と比較すると、
「低レベル」の運動をしていたグループでは、
がんの進行リスクが16%低く、
あらゆる原因による死亡の
リスクが33%低いことが分かった。
さらに、
「中程度から高レベル」の運動をしていた
グループでは、
がんの進行リスクが27%低く、
あらゆる原因による死亡のリスクが
47%低いことが分かった。
この研究は治療や介入は行わずデータを分析する
観察研究であるため、
因果関係を証明することはできない。
体重(BMI)に関するデータが
不完全であることや、
喫煙や飲酒など、
その他の影響を及ぼす可能性のある
要因を考慮することができなかったことを
研究者らは認めている。
しかし、
この調査結果にはいくつかの合理的な
生物学的見解が考えられると研究者らは述べている。
最も有力なのは、
運動によってナチュラルキラー細胞、
リンパ球、好中球、好酸球の数が増加し、
免疫機能が強化されるというものである。
運動はエストロゲンとテストステロンの
レベルを調整することで、
乳がんや前立腺がんなどのホルモンの
影響を受けるがんの進行リスクを
低減させる可能性もある。
概してこの結果は、
がんの診断前における、
運動不足と比較した場合の運動習慣の
ポジティブな影響の可能性、
及び低レベルの身体活動でも有益である
可能性を示唆している。
「がんが依然として公衆衛生上の大きな
負担となっている世界において、
運動の促進はがんの予防とケアだけでなく、
がんの進行についても重要な利益を
もたらす可能性がある。」
と研究者らは結論づけている。
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