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2025/1/30

ブッダとイエスの教えの 「意外な相違点」をご存知ですか? インド史の大家が語っていたこと

 
 
 
 
 
 
 
 
 

ブッダとイエスの教えの

「意外な相違点」をご存知ですか?

インド史の大家が語っていたこと

ブッダとイエスの違い

 
 

アメリカ大統領選での宗教右派の影響が

議論されたり、

 

宗教二世の問題が耳目を集めたりと、

「宗教」への関心はこれまで以上に高まっています。

 

宗教に関する知識を得ておくべき

タイミングが来ているのかもしれません。

 

 

日本で「宗教」といえば仏教ですが、

もともとはインドで紀元前後にはじまった

「大乗仏教」が入ってきたものでした。

 

 

大乗仏教とはなんなのかを知るのに有益なのが、

大乗仏教の誕生』という本。

 

著者は、

京都大学教授で仏教学者である

梶山雄一氏(2004年没)です。

 

 

 
 

本書では、ブッダとイエスの違いについて、

A・L・バシャムというインド史の研究者が

解説した内容が紹介されていますが、

 

非常に興味深いものです。

 

話は、

ブッダの「ある行動」の記述からはじまります。

大乗仏教の誕生』より引用します

(読みやすさのため、改行などを編集しています)。

 

 

〈シュラーヴァスティーの裕福な商家の嫁であった

キサー・ゴータミーは、

突然男の子を亡くしてしまった。

 

彼女は死んだ子を抱いて歩きまわり、

会う人ごとに薬をせがんだ。

 

人びとは「死んだ子に飲ませる薬があろうか」

とあざけった。

 

彼女を憐んだある人が、

たまたま近くに来ていたブッダのところへ

行くようにと教えてやった。

 

 

ブッダに近づき、

また薬をせがんだキサー・ゴータミーに向かってブッダは、

「町に行き、だれも死んだことのない家から、

カラシ種をもらってくるがよい」という。

 

キサー・ゴータミーは死者を葬ったことのない家を

探してまわるが、

そういう家を見つけることができない。〉

 

 

〈そうしているうちに彼女は、

無常ということは、

神がみさえも免れることのできない、

 

世の定めであることにおのずから気づいた。

 

ブッダのもとに戻った彼女は出家を申し出て許され、

修行に専心し、

のちに、ついに解脱して聖者となった。

 

 

バシャムはこの物語を紹介し、

そこにあらわれるブッダの教化の仕方と、

つぎつぎに病人をいやし、

 

死者をよみがえらせる奇跡を行った

イエスの教化とのあいだに

対照的な相違のあることを強調している。

 

 

ブッダは常に、

静かにものごとの本質を指し示して見せた。

 

そして神変や奇跡を行うわけでもなく、

人びとがみずから真理に気づくのを待った。〉

 

 

また、つづく部分では、

ブッダの教えのポイントである

「八正道」について端的に紹介されています。

 

 

〈彼は四つの真理を教えた。

 

苦・苦の原因・苦の消滅・苦の消滅にいたる道、

の四つである。

 

ブッダのいう苦とは、

生まれること・老いること・病・そして死の四苦であり、

 

また、

憎らしい者に会う苦悩・愛する者と

別れる苦悩・欲しいものが手に入らない

苦悩・要するに身心の要素はすべて

苦悩である、

 

ということ

(四苦とあわせて八苦という)であった。

 

 

人間の苦にはさまざまなものがある。

 

戦争・暴力・盗難・恋愛の悩み・家庭問題などなど。

 

ブッダは、

しかし、そのようなさまざまな現象としての苦よりも、

本質としての苦に主要な関心をもっていた。

 

少壮のなかにも老いと病はある、

生まれることのなかにすでに死がある、

とブッダは教える。

 

なぜなら、

身心としての人間の存在そのものが苦であるから。〉

 

 

〈しかし、ブッダは苦を、

そして人間存在を実体としてはとらえなかった。

 

形体・感受・表象・意欲・認識という

身心の諸要素に実体はない。

 

もし形体あるものに不変不滅の実体があるならば、

身体が病気になることはないであろう。

 

私の身体はこうあってほしい、

こうあってほしくない、といえるであろう。

 

しかし形体あるものには実体がないから、

身体は病気になるのだし、

意のままにすることもできないのである。

 

感受も表象も意欲も認識も同じである。

 

これら五要素は永久に存続せず、

常に移り変わるものであり、

したがって苦である。

 

永続せず、移り変わり、苦であるものを、

これは私だ、私のものだ、

私の実体だ、ということはできない。

 

 

 

こうして、

五つの要素、つまり、

あらゆるものは無常であり、

苦であり、実体(自我)のないものである、と教える。

 

 

苦は、いいかえれば、あらゆるものは、

実体としてどこかからやってきたのでもないし、

どこかへ去ってゆくわけでもない。

 

それは、

原因・条件の集まりによって生じ、

原因・条件が欠ければ滅する。

 

そして、その苦の滅こそが絶対の平安である。

 

 

苦の原因とは欲望と無知である。

 

欲望と無知を滅すれば絶対の

安らぎがある。

 

絶対の安らぎにいたる道は、

正しく見ること・

正しく考えること・

正しい言葉を用いること・

正しく行動すること・

正しく生活すること・

正しく努力すること・

正しく留意すること・

正しく瞑想することの

 

八つ(八正道)である。〉

 

 

<参考:仏教学者、梶山雄一氏> 

 

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