「昇進して念願の管理職になったけど、
正直不安も強い……」
「未経験の仕事に慣れない……。
上司から失望されたくない」
新しい挑戦をしなければならない状況で、
プレッシャーに押し潰されそうになる
社会人は少なくありません。
では、重圧が大きいのにもかかわらず
成功した経営者らは、
どのような習慣でメンタルの
強さを保っているのでしょうか。
今回の記事では、
成功者たちの夜習慣を3つご紹介します。
1. 30分の読書
成功者の多くが読書を好むことはよく知られているもの。
ですが彼らは趣味のみではなく、
ストレス解消法のひとつとして、
夜に「30分の読書」をする習慣があります。
国際的なビジネス講演者、
ビジネス書作家であるマイケル・カー氏は、
「ビジネスリーダーの多くは就寝前に
読書する時間を確保している」と述べます。
その例は、
米国の政治家であるバラク・オバマ氏や、
マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツ氏。
彼らは就寝前に少なくとも30分の
読書をするとされています。
しかし、
仕事終わりに「30分の読書」を
する余裕のある人は少ないもの。
もともとメンタルが強いから、
就寝前に30分も読書にあてられるのでは?
と筆者も因果関係について考えましたが、
調べたところ「読書とメンタルの回復」には
科学的な裏づけがあるようです。
教育や学習を専門とする、
The Journal of College Teaching & Learning (TLC)
に掲載された論文(2009)では、
週1回30分の読書は、
ヨガやユーモアを楽しむことに劣らない
メンタルヘルスの改善が報告されています。
米国のシートン・ホール大学の研究者らは、
22名の被験者に週に1回、
3週間にわたり次の行動をしてもらいました。
- ヨガを30分行なう
- お笑いを30分楽しんでもらう
- 読書を30分する
その結果、
どの行動も血圧と心拍数の低下、
ストレスの軽減が確認されたのです。
読書30分がヨガ30分に匹敵するのですから、
読書におけるリラックス効果はあなどれないですね。
前出のカー氏は、
成功者の就寝前の読書には
インスピレーションを与える以上の
意味がある、と述べています。
(多くの成功者はさまざまな情報源から
情報を得ることに価値を見出し、
それが彼らの人生において大きな
創造性や情熱をもたらすと考えています)
つまり、
読書体験における感動が一種の
カタルシスになっているのです。
ですから、
就寝前の読書は勉強するためというよりも、
興味の向く分野、
感動を得られる小説や好きな作家の
エッセイを読むほうが好ましいでしょう。
日々多忙なみなさんも、
一日の終わりに心を揺さぶる時間をつくりましょう。
知性も心も育まれるはずです。
2. 20分の散歩
運動が健康にもたらす恩恵は知られているところ。
成功者にも心身の健康を維持するための、
運動習慣があります。
それは、
強度の筋トレなどではなく
「20分ほどの散歩」です。
ソーシャルメディアの管理サービスを提供する、
(株)BufferのCEO、ジョエル・ガスコイン氏は、
寝る前に20分の散歩をする習慣があるのだそうです。
夜の散歩は「一日の仕事を振り返り、
考えを巡らして徐々に仕事から離れる」
くつろぎの時間になる、
とガスコイン氏は語ります。
常にプレッシャーを感じる経営者にとって、
夜の散歩は内省と思考の切り替えの
時間になるわけですね。
もちろん、
健康面でのメリットも多くあります。
ニューヨークを拠点とする再生医療の医師、
ニール・ポールヴィン博士氏は、
夜の散歩はよりよい睡眠を促す
効果があると説明します。
その鍵となるのは、
睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」の働き。
ポールヴィン博士によると、
メラトニンは暗闇によって刺激されるため、
夜の散歩は脳に「休息」を促す
メッセージを送る役割を果たすのだそうです。
現代はドラマ鑑賞したり、
SNSやネットサーフィンをしたりして
夜を過ごす人が多いもの。
一方、
夜の散歩はデジタルデバイスの光りを避け、
暗闇によって睡眠ホルモンを
分泌させる効果があります。
ただ、ポールヴィン博士が注意するのは、
夜の散歩から就寝までに時間をおくことです。
なぜなら、
運動中に上がった体温がもとに戻るためには、
時間がかかるから。
ポールヴィン博士は、
研究報告から目安は「90分」おくことだ、
とすすめています。
ですから、
就寝時間が22時だとすれば、
20時30分前までに終わらせるのがベターです。
夜遅い外出には危険がともないますし、
軽い散歩とはいえ心拍数は上がるもの。
散歩は夕方から夜にかけての時間を確保し、
そのあと家でリラックスした時間を過ごしてみてくださいね。
3. 感謝する出来事を書き出す
一日が終わって疲れやストレスを感じることは多くとも、
充実感はない……。
そんな方は、
次の日を気持ちよく迎えるために、
「感謝する出来事」に目を向けてみましょう。
経済雑誌のフォーブスで2016年に
「アメリカで最も成功した女性」で
2位に選ばれた俳優、
慈善家のオプラ・ウィンフリー氏は、
10年以上感謝の日記を書き続けているのだそうです。
彼女にとって、感謝とは
「人生に何が起きても感謝の心を
忘れずにいることを学んだ時、
チャンスや人間関係、
そしてお金までもが、
自分のもとに流れてきた」
仕事での不満やうまくいかない出来事があっても、
感謝の気持ちはそれらを打ち消してくれます。
日常の幸福に目を向けることは、
自分を精神的に高め、
人生に多くの恩恵をもたらしてくれるのです。
「感謝の心」の利点は精神的な面だけでなく、
科学的にも多くの研究報告が伝えられています。
感謝と幸福に関する研究を行なう
アメリカの心理学者、
カリフォルニア大学教授のロバート・エモンズ博士は、
科学的根拠にもとづく感謝のメリットを
次のようにまとめています。
- 重要な目標に対して前向きに進められる
- 意思の力、注意力、活力などのポジティブな気分が高くなる
- 人生に対して楽観的になり、睡眠の時間と質が向上する
上記の結果から、
心と身体は連動していると考えられますね。
よく言われる「運がいい人」とは、
ポジティブな気持ちを忘れずに
心身を健康に保った結果、
大きな目標を達成する力を
維持できる人なのかもしれません。
実際、
感謝の日記を続けてみると
心の状態がどのように変化するのか、
最近疲れが溜まって感動することが減った
筆者が試しに数日つけてみましたよ。
最初は「何も感謝する出来事がない……」
とノートを前に愕然としましたが、
仕事で自分の考えた案が通った
ことを思い出しました。
それがきっかけで、
今ある状況が当たり前ではないと振り返り……
現在置かれている場所そのものが、
幸運であると気づきました。
普段はネガティブな感情が残って、
睡眠が浅く疲れる夢をよく見ていた筆者。
ですが、夜寝る前に感謝日記を書くと、
一日の終わりの記憶がポジティブなものに変わり、
よく眠れるようになりましたよ。
ぜひ、
夜に一日の疲れを感謝の気持ちで
上書きしてみてください。
<参考:青野透子 >