「腸は第2の脳」なんて言葉をご存知でしょうか?
実はここ数年で脳と腸の密接すぎる関係が
続々と解明されているのです。
腸を整えることで脳にも良い影響が与えられ、
穏やかな心と体で日々を過ごせる
ようになるのだとか!
そんな、
脳と腸との関係性=脳腸相関の研究を
続けている大塚亮先生に、
気になることをとことん聞いてみました!
さらに腸内環境の整え方についても掘り下げます!
おおつか医院 院長
「脳腸相関」って知ってる?
メンタル不調も疲れが取れないのも
脳と腸の蜜月関係がカギだった。
脳腸相関とは、
どういう状況のことを指すのか教えてください。
大塚先生:簡単に言うと、
脳と腸は常に連携していて、
神経や免疫、内分泌のネットワークを使って
情報伝達をしているということです。
――脳は色々な物事をコントロールするのだから、
脳が腸に情報を伝えるのは当たり前
のことではないのですか?
大塚先生:脳からだけでなく腸からも指令がいく、
というのがポイントです。
腸は他の臓器と違ってもともと独自の
ネットワークを持っているのです。
動物が進化する過程で1番最初にできたのが
腸だけある生き物。
つまり動物として生きるだけだったら
腸さえあればいいんですよね。
そこからどうやって人間のような
生物が生まれたかというと、
効率よくエサを捕まえたいから、
自分に近づいてくるエサを効率よく
捉えるために脳が腸の神経系から発達し、
その後視覚、
聴覚、触覚などのセンサーができた。
それらをコントロールするために
脳がだんだん発達してきたのですよ。
“腸は第2の脳”といわれていますが、
実は腸が都合よく生きるためのシステムとして
脳をつくったということです。
だから脳がなくても腸は活動できるのですよ。
腸は自分で食べたものを判断して
動きのコントロールをしているのですが、
それは脳とは関係なく行なっていて、
そこに脳からの指令はいらないのです。
――なるほど。でも、
脳と腸が連携しているということは、
少なからず影響は与え合っている
ということですよね?
大塚先生:そうですね。
独立した臓器ですが、
お互いの情報交換をしています。
人間は脳が発達したことで色々な情報を
処理するようになりストレスがかかる
状況が増えました。
それは腸に伝わるし、
腸の状態が悪いと脳にも伝わります。
――大腸・小腸ともに、
脳と情報交換をしているのですか?
大塚先生:メインは小腸ですがそれぞれが
脳とつながっています。
先ほどの発生学の話に戻りますが、
小腸がうまく働くために、
食べたものを貯めておくための胃が発達し、
水分を取り込み腸内細菌を育てる場所として
大腸が発達しました。
胃や大腸は細かく言うと
脳に支配されている臓器。
ストレスがたまったときに潰瘍ができたり、
下痢になりやすいのは、
胃や大腸が直接脳につながっていることで
影響を受けているからなのです。
脳が発達したことで、
かつてのように単純な腸の機能を
補助するだけではなくなったことが、
脳の働きが他の臓器に影響する
大きな原因だと考えられます。
体の調子が悪いと脳に刺激がいって
ストレスを感じるし、
お腹の調子が悪いと気分が上がらず
やる気も出なくて感情にも影響がある。
お互いが影響し合うからこそ、
ときに悪循環に陥って、
腸が知覚過敏のような状態になり、
どんどん悪い状態になるのです。
実際うつ病の人の多くは、
お腹の調子がよくない傾向があって、
抗うつ剤のようなメンタル面に効く薬だけでなく、
腸内環境をよくするアプローチを
併用する先生たちも多くいます。
――脳と腸が悪循環に陥った場合、
断ち切るためにすべきことがあれば
教えてください。
大塚先生:ストレスの原因を取りのぞき、
腸内環境を整えることが大切です。
腸内には大きく分けると
善玉菌と悪玉菌と日和見菌があるのですが、
そのどれかが増えたり減ったりすることなく、
バランスを保って存在することが大事です。
でも調子が悪い人はバランスが
無茶苦茶になって腸のバリア機能が
おかしくなっていることが多くて。
まずは食生活を見直すのが第一です。
――食事を見直して腸の環境が整うと、
具体的に腸内ではどのようなことが
起こるのでしょうか?
大塚先生:幸せホルモンと呼ばれている
セロトニンの分泌が盛んになります。
セロトニンの大もとになる
トリプトファンというアミノ酸は、
体の中で生成できるものではなく、
食事から摂取せねばなりません。
腸の環境が悪いと消化吸収が
きちんとできず足りなくなってしまいます。
ちなみにセロトニンは、
脳で働くと幸福感を感じることができるのですが、
腸の中で働いているセロトニンは別モノで、
腸の中では神経伝達物質として働いています。
腸で作ったセロトニンは
脳にいくわけではないのですよ。