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2024/3/27

脳が体からの信号を読み間違えると “意図的に疲れた状態” をつくり出してしまう!

 
 
 
 
 
 

脳が体からの信号を読み間違えると

“意図的に疲れた状態”

をつくり出してしまう!

誰もが起こす可能性のある

「慢性神経炎症」とは?

 
 

頭にもやのかかったような状態や認知能力の衰え、

気分障害などを抱える人の中には

脳にかかわる症状を抱えていることが多い。

 

脳の健康が悪化することにより、

“意図的に体が疲れた状態”を

つくり出してしまうメカニズムとは。

 

『回復人 体中の細胞が疲れにつよくなる

 

 

疲労脳──「血液脳関門」が

壊れて悪物質が通過

 
 

脳にかかわる健康およびエネルギーの問題の多くは、

もとをたどると「神経炎症」と

「血液脳関門の漏れ」に行きつく。

 



脳には、

全長600キロに及ぶ血管がつながっていて、

酸素と栄養素を脳に届けると同時に、

代謝廃棄物を脳から運び出している。

 

 

 

 
脳が体からの信号を読み間違え“意図的に疲れた状態”をつくり出してしまう「慢性神経炎症」のメカニズムとは?_1

 
 

この果てしなく長い血管は、

不必要な分子が脳のなかに漏れ出さないように

「血液脳関門(BBB)」でコーティングされている。

 

血液脳関門はいわば脳を守る門番で【5】、

腸障壁が体を守る門番として働くのに似ている。

 



血液脳関門は

、外部の悪い物質──毒素、病原菌、

誤った免疫細胞、血流中の異分子など──

から脳を守るのに欠かせない。

 

一方、グルコース、炭水化物、タンパク質、

アミノ酸、ケトン体、ビタミン、ミネラル、

免疫細胞とサイトカイン、ホルモンなどは

積極的に脳内に通す必要がある。

 



問題は、

環境に存在する毒素や慢性的なストレス、

質のよくない食事のせいで血液脳関門が徐々に

機能不全を起こし(つまり「漏れる」ようになり)、

通してはいけない分子を通してしまうようになることだ。

 



慢性疲労を覚える人たちには、

この血液脳関門機能不全の

兆候があることが明らかになっている。

 

これが、

頭にもやのかかったような状態や

認知能力の衰え、気分障害が見られる理由だ。

 



血液脳関門に漏れがあると、

脳は次の2つの大打撃を受ける。

 



①「神経毒性分子」が脳内に侵入し、

神経炎症とニューロン損傷を引き起こす


②代謝上の廃棄物および毒性廃棄物が

排出されなくなり、

脳にさらなる被害をもたらす

 



血液脳関門の不調が、

神経変性と認知機能障害の

必要十分条件だということは、

疑う余地のない事実だ。



神経炎症はニューロンの起動を遅くしたり、

異常なほど活発にさせて消耗させたりする。

 

それによって脳細胞間の連絡に不具合が生じ、

認知機能が低下するのだ。

 



こうして、

ミトコンドリアの機能不全が起こり、

体全体のエネルギー関連の

制御の乱れにつながっていくというわけだ。 

 

 

 

脳が「信号」を読み間違える

 

 

脳と体は無意識のうちにつねに

連絡を取り合っている。

 



肺は脳が指示を出さなくても酸素を吸い込み、

二酸化炭素を吐き出す。

 

私たちが無意識のうちに行っている

生物学的・化学的プロセスの多くは、

体を健康かつ安全に保ち、

滞りなく働かせるために、

進化の過程でプログラムされたものだ。

 



脳と体のあいだを行き交う信号は、

私たちのエネルギーレベルを大きく左右する。

 

たとえば、「疾病行動」。

 



疾病行動は、

体がウイルスや細菌と戦ったり、

外傷を受けたり、体内に炎症サイトカインが

放出されたりしているときに起こる。

 



こうした信号を受けると、

脳は「あえて」疲労を引き起こすことを選び、

覚醒し、集中して活動するのに

必要な神経伝達物質やホルモンの産生を減らす。

 

中央制御装置である脳は、

体が休息と回復を必要としていると認識し、

活動を抑えようとするのだ。

 

 

 

脳が体からの信号を読み間違え“意図的に疲れた状態”をつくり出してしまう「慢性神経炎症」のメカニズムとは?_2
 

 

 

進化の過程で身につけた

このすばらしい適応力のおかげで、

人間の体は病気やケガを克服してきた。

 

ところが、現代においては進化上のズレが生じ、

「慢性神経炎症」が脳に誤った信号を送って、

私たちをつねに疲れた状態にしている。

 



もしもあなたが質のよくない食事やストレス、

毒素の摂取──あるいはそのいくつか──によって

慢性的な炎症を抱えているとしたら、

あなたの脳はおそらく、

体の回復を目指して意図的に

疲れた状態をつくり出している。 

 

 

 

まだ余力がある筋肉に

脳がストップをかける

 
 

脳が「あえて」疲労を生じさせるもう1つの例が、

スポーツに関連してよく話題になる

「中枢神経系疲労(中枢疲労)」だ。

 



中枢疲労とは、

神経伝達物質の信号が改変された状態だ。

 

とくにノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミン

といった神経伝達物質が

、筋肉そのものの状態とはかかわりなく、

筋肉の機能を鈍らせてしまうことをいう。

 



この状態に陥ると、

筋肉にはまだ余力があるのに、

神経伝達物質の信号がオフになっているため、

脳は筋肉の働きにストップをかけてしまう。

 

 

 

脳が体からの信号を読み間違え“意図的に疲れた状態”をつくり出してしまう「慢性神経炎症」のメカニズムとは?_3

 
 
 

いわば、体は車で、

脳は運転手のようなものだ。

 

もし車にオイル切れやガス欠などの

不具合が起きていたら、

運転手がどんなにアクセルを踏みこんだところで、

正常な運転はできない。

 

同じように、

もし筋肉がエネルギー切れを起こしたり、

傷ついたりしたら、脳がどんな指示を出そうと、

身体機能は正常に働かない。

 



また、その逆のケースもありうる。

 

車(筋肉)が完璧に整備されていても、

運転手(脳)がブレーキを踏んでいれば、

どこにも行けないのだ。

 



疾病行動と同じく、

これは私たちを守るために進化が生み出した

メカニズムだ。

 

脳と体はつねに連絡を取り合っているため、

身体活動を続けることで生命が

脅かされるという判断が下ると、

脳はそれを防ごうとする。

 



結果的に

脳は脱水や発熱、栄養不足といった

脅威に対して強い警戒を示し、

活動指令を減らして、

体を疲れさせ動きを止めるよう指令を増やす。

 



慢性的な中枢疲労は、

脳が体からの信号を読み間違え、

エネルギー産生に誤って急ブレーキを

かけるために起こる。

 



慢性疲労を抱える人は、

筋肉の機能にはなんの異常も見られないのに、

筋肉を完全に動かす(収縮させる)ことができなくなる。

 

ただし、

筋肉を直接刺激すれば正常に収縮させられる。

 

これは、

問題が筋肉ではなく、

脳の信号にあることを示している。

 

 


体力を使った際に筋肉に伝えられる

 

脳の信号の強さを電極を使って計測すると、

慢性疲労を抱える女性であっても、

電気で局所的に刺激を与えれば、

筋肉は健康的な(疲労を感じていない)人と

同じくらい収縮することがわかった。

 

だがこの収縮力は、

筋肉への刺激が自発的に(脳によって)

与えられたときの40%にとどまった。

 



この結果は、

中枢疲労が体にどんな影響を

もたらすかを示している。

 

筋肉組織に届く信号は、

慢性疲労によって大幅に減少するのだ。

 

 

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