中高年になってよく出てくる健康問題である高血圧。

 

健康診断で気になるスコアが出た場合、

早めに受診するのは大切なことだが、

薬だけに頼るのではなく、

食生活を見直すことで改善されることも

 

 

 

血圧が高い人

中高年になると、

多くの人が高血圧気味になり、

健康診断の判定によっては血圧を下げる

薬を処方される人も少なくありません。

 

確かに、高血圧はさまざまな病気を

引き起こす要因になります。

 

日本では、

高血圧からつながる脳出血が死因の多くを占め、

対策が重要であった時代もありました。

 

もちろん、

上の血圧(収縮期血圧)が180mmHgを

超えるような高血圧であれば、

要注意です。

 

 

 ただし、

降圧薬などで必要以上に血圧を下げ過ぎれば、

脳の血流が低下してしまい、

違う問題も生じてきます。

 

近年は脳の血管が破れる脳出血が減少する一方で、

脳の血管が詰まる脳梗塞が増えていますが、

これには降圧薬によって血圧を抑えていることも

少なからず影響しているのではないかと考えています。

 

 

 

また、特に高齢者の場合に顕著なのですが、

血圧が低くて脳の血流を保てないと、

ふらつきが起こったり、

ちょっとした拍子に倒れて転倒から

骨折といった事故につながりかねません。

 

「夕食後、アルコールを飲んで、

降圧薬も服用した後に入浴」という条件が揃うと、

血管が過度に拡張し、

血圧が急激に下がって意識を失ってしまい、

入浴事故につながるケースが少なくありません。

 

特に気をつけていただきたいと思います。

 

 では、そもそも血圧はどれくらいの値を

目安にすればいいのでしょうか。

 

これには基準がいくつかあります。

 

 
「収縮期血圧130mmHg、拡張期血圧80mmHg」です。
 
 
日本高血圧学会の診断基準(2019年)では、
 
診察室での「収縮期血圧140mmHg
 
または拡張期血圧90mmHg」以上の場合を高血圧とし、
 
自宅で測る家庭血圧は少し低く
 
「収縮期血圧135mmHg、
 
拡張期血圧85mmHg」としています。
 
 
 

 私は、大まかに言って、

上の血圧が「年齢+90」以下であれば

問題ないと考えています。

 

高齢になればある程度、

全身の動脈硬化が進みますから、

脳の血流を保つためには「少し高め」の

血圧が必要なのです。

 

特に糖尿病の人は動脈硬化が進んでいるため、

上の血圧を140mmHg以下に

下げるべきではないと言われています。

 

 

 

健康診断の判定基準に単純に当てはめるのではなく、

健康で長生きするためには

「全身の健康状態」を俯瞰して考える

必要があることを忘れないでください。

 

 

 一般的に、高血圧の予防のためには、

食事での塩分(ナトリウム)摂取量の制限が

すすめられています。

 

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

の目標量では、

成人男性で7.5g未満、

成人女性で6.5g未満とされています。

 

また、日本高血圧学会は減塩目標を

1日6g未満にすることを強く推奨しています。

 

 

 
日本人の1日の平均塩分摂取量は
 
約10gと非常に多くなっているのが現状です。
 
和食は醤油や味噌など塩分の多い
 
調味料が日常的に使われているため、
 
どうしても塩分摂取量が多くなりがちなのが、
 
唯一の難点と言えそうです。
 
 

 こうした和食の調味料にはメリットも多いのですが、

塩分を控えるには酢やレモンなどの柑橘類で調味したり、

出汁をたっぷり使って旨みを増やすことで

調味料を加減したりする工夫も必要です。

 

 

 ただし、塩分制限で血圧が下がる人は

続ければ良いのですが、

塩分の主成分であるナトリウムには、

反応する人と反応しない人がいることがわかっていて、

塩分制限をしても血圧が下がらない人もいます。

 

 

 

特に高齢者の場合、

加齢に伴い「アルドステロン」という

ホルモンの分泌量が減少すると、

体内の塩分を維持する力も低下するため、

塩分制限も過剰にしすぎないように注意が必要です。

 

ナトリウムが不足して低ナトリウム血症

(血中のナトリウム濃度が低くなる)になり、

逆に体調が悪くなることもあるので、

全員が塩分制限をすれば

よいというわけではありません。

 

塩分を制限されている方は、

年に1回は血液中の塩分濃度の指標である、

ナトリウムと塩素の濃度を確認することをおすすめします。

 

 

 塩分の摂り方もバランスを考えながら、

工夫していくことが大切です。

 

動物性脂肪と塩分を一緒に摂ると血圧を上げ、

動脈硬化を進めます。

 

一方、魚の脂と大豆のたんぱく質は

血管を守る力があることが

疫学研究からも明らかになっています。

 

 

こうしたことからも、

魚・大豆を中心に肉は控えめにといった

バランスを考えて摂ることの大切さがわかります。

 

同時にカリウムが豊富な野菜をたくさん摂れば、

ナトリウムとバランスがとれて

体の機能が正常に働きやすくなります。

 

 

 また、味覚が鈍化していると

塩分の摂取量も多くなりがちですから、

味覚を正常化し、

繊細な違いを味わう感覚を保つよう心がけましょう。

 

味覚を正常化するのに必要な栄養素は亜鉛です。

 

亜鉛は牡蠣やシジミなどの貝類、

カニ、うなぎ、チーズ、卵などから補給できます。

 

 

●満尾 正

特に高齢者の場合、

加齢に伴い「アルドステロン」というホルモンの

分泌量が減少すると、

体内の塩分を維持する力も低下するため、

塩分制限も過剰にしすぎないように注意が必要です。

 

ナトリウムが不足して低ナトリウム血症

(血中のナトリウム濃度が低くなる)になり、

逆に体調が悪くなることもあるので、

全員が塩分制限をすればよいという

わけではありません。

 

塩分を制限されている方は、

年に1回は血液中の塩分濃度の指標である、

ナトリウムと塩素の濃度を

確認することをおすすめします。

 

 

 塩分の摂り方もバランスを考えながら、

工夫していくことが大切です。

 

動物性脂肪と塩分を一緒に摂ると血圧を上げ、

動脈硬化を進めます。

 

一方、魚の脂と大豆のたんぱく質は

血管を守る力があることが

疫学研究からも明らかになっています。

 

 

 
魚・大豆を中心に肉は控えめにといった
 
バランスを考えて摂ることの大切さがわかります。
 
同時にカリウムが豊富な野菜をたくさん摂れば、
 
ナトリウムとバランスがとれて
 
体の機能が正常に働きやすくなります。
 
 

 また、

味覚が鈍化していると塩分の摂取量も

多くなりがちですから、

味覚を正常化し、

繊細な違いを味わう感覚を保つよう心がけましょう。

 

味覚を正常化するのに必要な栄養素は亜鉛です。

 

亜鉛は牡蠣やシジミなどの貝類、

カニ、うなぎ、チーズ、卵などから補給できます。

 

 

 

<参考:満尾クリニック院長・医学博士>

 

 

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