まずは水が蒸発する仕組みについておさらいしておきましょう。
液体の水は分子同士がゆるく結びついて動き回っている状態です。
それに対し、蒸発した水、
すなわち水蒸気の状態では分子は
完全にばらばらになり動き回っています。
常に動き回っている液体の水分子は
水面付近にくると空気中に飛び出して
しまうことがあります。
これが水の「蒸発」です。
液体であれば水分子は動いているので、
量は多くないものの常温でも蒸発が起こります。
さらに液体の水に熱エネルギーが加わると、
分子の運動が激しくなるので
飛び出す分子が多くなります。
つまり、
温度が高くなると蒸発速度が上がるのです。
蒸発速度はそのほか空気の条件
(気圧や気温など)によっても変わってきますが、
空気の条件が同じであれば蒸発速度は
水温を変数とした式で表すことができます。
しかし、
近年このような計算式で計算した蒸発量と、
実際の蒸発量が大きく異なる現象が
各所で確認されました。
水が熱エネルギーの計算値より多く蒸発
蒸発量が理論値と大きく異なる現象は
ヒドロゲルの中の水分で観察されました。
ヒドロゲルとは、
水を媒体としたゲル状の物質を指す言葉です。
具体的には水を使った寒天やゼリーが
ヒドロゲルにあたります。
ヒドロゲルにおける水の蒸発量を測定すると、
温度を元に算出した計算値より
大きくなる事例が頻発していました。
その蒸発量の違いは大きいものでは
計算値の3倍以上となったものもあります。
そのため、
多くの研究者たちは「水の蒸発を促すものが
熱以外にもあるのではないか」と疑いました。
そんな中、MITの研究チームは
「光が蒸発を引き起こす」と推察し、
実際にヒドロゲルに光を当てて
蒸発するか実験することにしたのです。
光の色によって蒸発量が変化
緑の光を当てたヒドロゲル:
実験では、
水面に異なる色の光を順番に当て、
蒸発速度を測定しました。
この際、
ライトの熱が伝わらないよう
、ヒドロゲルは光のみが届くシールドで
遮断されています。
現状、光分子効果はヒドロゲル上でしか
観察されていませんが、
研究者たちは海面や雲の中など
他の条件下でも同様に発生する
可能性を指摘しています。
海面からの蒸発を考えたとき、
これまでも理論値と合わないことが
多くあったためです。
もっと身近な例で言えば、
晴れの日と曇ってる日で、
洗濯物の乾き方が違うのも
光分子効果のせいかもしれません。
光分子効果を使えば、
熱エネルギーを使わなくても
水の蒸発を早めることができます。
このため、
蒸留を用いた浄水や海水の淡水化において、
安価で大幅に蒸発の効率を
上げられることが期待されています。
また、
光分子効果を踏まえた蒸発プロセスを
数式化できれば気候変動の予測が
より正確になる可能性もあります。
光分子効果はまだ発見されたばかりで、
仮説の域を出ない部分も少なくありません。
しかし、
もし実用化されれば「水」という
資源の幅が大きく広がるでしょう。
今後の研究に期待が高まりますね。
<参考:>
1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、
あなたなら出来ます応援しています
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