なんと「1975年の日本食」が最強だった…!
ラットに食べさせて分かった「驚きの実験結果」
親から受け継いだ遺伝子は
食生活の近代化で、
寿命が半分になった人たち
体質に合わない食生活で
寿命が縮むこともあります。
遺伝性シスタチンCアミロイド血管症は、
北欧の国アイスランドにみられる病気です。
両親のどちらかがこの病気であれば発症し、
脳の血管が破れる脳出血により
平均30歳で死亡します。
病気の原因は1550年ごろに生まれた
ある人物に起きた突然変異で、
患者さんはすべてこの人の子孫と
推測されています。
不思議なことに、
過去の記録によれば、
19世紀までに生まれた患者さんは
平均寿命が約65歳で、
この病気でない人たちと変わりありませんでした。
それどころか病気の遺伝子を持っていても、
脳出血をはじめとする健康問題が
起きることはなかったようなのです。
それが19世紀に入ると
平均寿命が下がり始め、
わずか数十年のあいだに半分以下まで
短くなりました。
いったいなぜでしょう?
患者さんたちに別の遺伝子変異が
加わったと考えたくなるところですが、
その可能性は低いでしょう。
米国とアイスランドの共同研究によると、
少なくとも1800年まで系図を
さかのぼることができる15の家系すべてで、
一斉に同じ現象が起きているからです。
そして病気の重症化はアイスランドの
都市部で暮らしていた家系に始まり、
次第に周辺の村々に住む家系に
広がったことも明らかになりました。
研究者らは、
この現象の背景にアイスランド人の
食生活の変化があると考えています。
アイスランドは島国で、
かつては食料をほぼ自給していました。
気候風土が穀物の栽培に
適していないため動物の肉と内臓、
バターが中心で、
1790年ごろにはカロリー全体の
45%を脂肪から得ていた一方で、
炭水化物由来のカロリーは25%弱でした。
19世紀に入り、
海外から食料を輸入するようになると、
都市部を中心に欧州式の食事が
徐々に広がりました。
1940年には脂肪に由来するカロリーが
全体の32%まで下がり、
代わって50%以上を炭水化物から
摂取するようになったと記録されています。
脂肪と炭水化物の摂取比率が
ほぼ逆転したわけです。
これにつれて遺伝病が重症化し、
患者さんの平均寿命が短くなりました。
正式な結論を出すにはまだ研究が必要ですが、
アイスランドの伝統的な食事が、
病気を引き起こす遺伝子のスイッチを
オフにしていた可能性があるということです。
アイスランドほど極端ではないものの、
食の近代化は日本でも起きました。
厚生労働省が実施している
国民健康・栄養調査によると、
日本人の栄養摂取バランスは、
1960年には蛋白質が13・3%、
脂肪10・6%、炭水化物76・1%でした。
これが2019年には、
それぞれ15・1%、28・6%、56・3%に
なっています。
アイスランドとは逆に脂肪の割合が上がり、
その分、炭水化物が減ったかっこうです。