私
「ソクラ、人類の進化には、
一つの法則があるような気がします。」
ソクラ
「ほう。どんな法則だ?」
私
「昔は、進化とは『強くなること』だと思っていました。」
「でも、最近は違う気がするんです。」
ソクラ
「何が違う?」
私
「科学が進むほど、
一つを大きくするのではなく、
たくさんを協力させています。」
車は多気筒エンジン。
(単気筒から12気筒へ)
テレビは何百万もの画素。(2K〜8K)
AIは何万枚ものGPU。
スターリンクは数千機〜数万機の
小型の人工衛星を連携。
ドローンは単独から群れになって飛びます。
「未来ほど、『集合』が増えているんです。」
ソクラ
「面白い。」
「では自然はどうだ?」
私
「細胞が集まって身体になります。」
「神経細胞が集まって脳になります。」
アリは群れで巣を作り、
魚は群れで泳ぎ、敵から身を守る
渡り鳥は群れで編隊を組んで海を渡ります。
ソクラ
「つまり、それは人類は未来を
発明しているのではない。」
「自然を学び直しているのだな。」
私
「そうか。」
「デジタルはアナログの解像度を目指している。」
「AIは脳を目指している。」
「ドローンは鳥の群れを目指している。」
「結局、自然へ近づいているんですね。」
ソクラ
「その通り。」
「科学とは、新しいものを作ることではない。」
「自然という設計図を、一枚ずつ読み解くことなのだ。」
私
「でも、それは機械だけではありません。」
「人間も同じ道を辿ってると思うんだ。」
「原始時代、人は一人では生きられませんでした。」
「家族ができ、
集落ができ、
村になり、
町になり、
都市になり、
国家になりました。」
「まるでグレートジャーニーは、
人類が『集まる旅』だったように思えます。」
ソクラ
「その視点は、とても大切だ。」
「人類は世界へ広がっただけではない。」
「広がりながら、より大きな共同体を作ってきた。」
「一人では狩りしかできなかった。」
「村になれば農業ができた。」
「都市になれば文明が生まれた。」
「国家になれば宇宙へ行けるようになった。」
「進歩とは、能力ではない。」
「協力できる人数を増やすことだったのだ。」
私
「すると未来は……。」
ソクラ
「AIも同じ道を歩くだろう。」
医療AI。
法律AI。
翻訳AI。
ロボットAI。
運転AI。
「それぞれが専門家となり、
最後に一つの統合AIとして協力する。」
「それは、人間の脳が視覚野、言語野、運動野、
記憶を統合して一人の人格になる姿によく似ている。」
私
「つまり未来のAIは、
一人の天才ではなく……。」
ソクラ
「一つの社会になる。」
「人類は長い間、一番強い一人を求めた。」
「しかし自然は、一人の英雄を作らなかった。」
「何百億もの神経細胞を集めて、脳を作った。」
「何十兆もの細胞を集めて、命を作った。」
「何十億人もの人間を集めて、文明を作った。」
私
「では、進化とは何なのでしょう。」
ソクラ
「進化とは、強くなることではない。」
「賢くなることでもない。」
「より大きな集合を作ることだ。」
「40億年前から続く進化の法則は、
一度も変わっていない。」
未来の歴史書には、AI革命と書かれるかもしれない。
しかし本当は、もっと大きな変化が起きている。
それは、「個」が主役の時代から、
「集合」が主役の時代への転換である。
私たちはAIを作っているのではない。
40億年前から自然が使い続けてきた
「集合」という知恵を、
ようやく理解し始めたのかもしれない。