ダートマス大学の研究者らは、
生成AIを搭載した治療チャットボットで
初の臨床試験を実施し、
これによって参加者の症状が大幅に
改善されたことを発表した。
この試験の結果は、
2025年3月27日付けの「NEJM AI誌」に
掲載されている。
研究チームは、「Therabot(セラボット)」と
呼ばれる生成AIを搭載した
治療チャットボットを開発。
このセラボットを使用して
臨床試験が実施された。
試験は、うつ病、全般性不安障害、
または摂食障害と診断された成人210人が参加し、
8週間実施された。
参加者の106人はセラボットを使用し、
残りの104人は待機リストとして
試験実施期間中は使用できないようにされていた。
参加者はTherabotで自分の気分に関する
プロンプトの回答の入力や、
話したいときに会話のやり取りを行った。

研究の結果、うつ病と診断された参加者は、
症状が平均51%減少し、
気分と健康状態に有意な改善が見られた。
全般性不安障害の参加者は、
症状が平均31%減少し、
摂食障害のリスクがある参加者は、
体のイメージや体重に関する不安が
平均で19%減少した。

研究者らは、
AIを活用した治療には依然として
臨床医の監督が不可欠であるものの、
専門家に定期的に、
またはすぐにアクセスできない人々に
リアルタイムのサポートを提供できる
可能性があると結論付けている。
また、
参加者はセラボットに詳細な回答ををするだけでなく、
頻繁に会話を始めたのだという。
やり取りは、
夜中など体調不良と関連する
時間帯に増加することも示された。

ChatGPTのリリース以来、
多くの人がこの分野に殺到しているが、
安全性と有効性は十分に
確立されていないのだという。
研究の主任著者である
Nicholas Jacobson氏は、
「綿密な監視が必要なケースの一つであり、
それを提供することで、
この分野における私たちの真の利点を
際立たせています。」と述べている。