なぜ現代人は
「みんな苦しい」のか…
不幸をもたらす
「価値あるものの奪い合い」の正体
人生を変える「経営教育」
私たちの「苦しさ」の正体は
「価値あるものの奪い合い」でした。
そして、価値奪い合いは
「価値あるものは有限だから他者から奪うしかない」
という思い込みから生じています。
ですから、
価値奪い合いから脱するには
「価値創り合い=価値創造」
が可能だという
思考の転換が必要だったわけです。
このとき、
価値奪い合いは価値有限という前提から出発し、
価値創り合いは価値無限という前提から出発します。
つまり両者は「パラダイム=思考枠組み」が
180度異なる思想なのです。
二つのパラダイムを使いこなすためには、
パラダイムの上位にある
人生観・哲学が必要でした。
そこで、
実際に価値創造を体感してもらいつつ、
二つのパラダイムの背後にある
経営論をおさえていただきました。
これによって、
読者の方々それぞれに二つのパラダイムを
使いこなす視点が生まれる
手助けをおこなってきたわけです。
こうして抽象的な思想から
具体的な実践に降りてきて、
再び抽象的な思想へと戻ってきました。
これは本書の冒頭で予告していたことでもあります。
経営学の特徴は客観的な
「上空からの視点」と主観的な
「目線の高さの視点」を恐れずに
往復するところにあります。
企業経営だけでなく非営利組織や
政府の経営、家庭や人生の
経営まで扱う経営学の特徴は、
従来言われていたように研究対象で
(会社の経営を扱う学問というように)
決まっているわけではありません。
むしろ、
この「視点の往復」こそが本質的な
経営学の特徴だと筆者は考えます。
この往復運動には学問としては
かなりの不正確さと評判悪化のリスクがともないます。
実践に降りてくる段階で、
どうしてもあいまいで根拠に乏しい点が出てくるからです。
経営学は、
そのリスクを取れる数少ない学問分野だと思います。
経営学が上空だけにとどまって
「自分は賢いんだ。
学問は分からないほうが悪いんだ」と
評論家的に居直れるなら楽でしょう。
しかし、
経営学には「目の前の人の役に立ちたい」
という使命感があります。
たとえボロボロに見えても、
鮮やかでなくても、役に立つと言ってくれる人がいて、
実際に一定の成果が出ていればそれでいいのです。
あとは実践のデータをもとに改良を続ければ
いいという発想が経営学にはあります。
しかし、
これだけの学問的なリスクを取ってまで
目指す未来が、
誰もが「心から良い」と思えるものでなければ無意味です。
ですから、
本書が提案する価値創造という思想がどのような
社会と世界を実現するのか
描いてみせる必要があるでしょう。