定説を覆す「新たな発見」

 

イースター島を調査する地質学チームによって、

地球の謎がまた一つ解き明かされたかもしれない。

 

 

コロンビアのロス・アンデス大学の

調査団を率いたのは、

 

キューバ人地質学者の

ヤミルカ・ロハス=アグラモンテ博士だ。

 

ジルコン鉱物の結晶化年代を測定するという、

古くから使われている確かな手法によって

火山島の年代測定を行った。

 

その結果がプレプリントの論文

(査読を通過する前の論文)として、

 

オンラインの論文執筆プラットフォーム

「Authorea(オーソレア)」に

アップロードされている。

 

 

驚くべきことに、

これまで定説とされてきた地球の

マントルの挙動を根本的に覆す結果が、

 

今回の調査によって示されることとなった。

 

具体的には、

マントルはこれまで誰も想像しなかったほど

ゆっくりと動いていたというのである。

 

 

イースター島は火山島であるため、

ジルコンによる年代測定が可能だ。

 

海洋プレート上に鎮座する溶岩堆積物の島だが、

 

火山そのものと海洋プレートの年代は

大差ないものと見られているため、

 

調査にとって理想的な条件がそろっている

(ジルコン鉱物のなかには250万年前の物が

複数含まれていると言われている)。

 

 

マグマが冷却される過程で

ジルコンが結晶化して鉱物となる。

 

ジルコンに含まれるウランは、

放射性崩壊によって最後は鉛に変化する。

 

その痕跡をさかのぼることで、

島が誕生した年代を科学的に測定できるのだ。

 

 

 
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発見された謎の鉱物は

1億6500万年前のものか?!

 
 

今回の調査によって、

驚愕の事実が浮かび上がったという。

 

 
 
これまで言われてきた
 
「イースター島の誕生は“250万年前”」という説が、
 
 
過小評価であったことが示されたのである。
 
 
調査対象となった鉱物のなかから
 
 
1億6500万年前の物が見つかったためだ。
 
 
この事実は、
 
これまで信じられてきたマントルの
 
挙動や火山活動の理解と合致するものではない。
 
 

複数のジルコン鉱床で同様の

 

組成が見られたことから、

 

それらが全て同じマグマによって

つくられたと考えるのが自然だ。

 

だが、いったいなぜ、

 

そこに1億6500万年前の鉱物が

交じっているのだろうか?

 

もしこれが事実だとするならば、

鉱物の下層に位置する

プレートの年代のほうが、

 

鉱物そのものよりも

新しいということになってしまう…。

 

 

複雑怪奇な話ではあるが、

説明はつくという。

 

 

イースター島の火山は

「ホットスポット火山」

(マグマが地殻を突き抜けて

噴火する火山)として知られている。

 

 

「マントルプルーム」と呼ばれるマントル

(地球の内部にある地殻と核の間の層で、

 

 

地球の体積の約83%、

質量の約67%を占める)が

 

ホットスポットのプレートの下から上昇し、

 

プレートに接近したマントルプルームが

 

周囲の岩石などを溶かしながらマグマとなる。

 

 

そしてプレートが移動しても、

マグマはその場にとどまり続ける。

 

プレートの移動にともなって、

 

マントルプルームによって

新たなホットスポット火山が生まれる。

 

ただし、

今回の発見が示唆するように、

1億6500万年も活動を続ける

というのは前代未聞だ。

 

 

 
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マントルの挙動に

大きな誤りがあった?

研究者たちの推測

 
 

「1億6500万年前に形成されたプレートが

 

“沈み込み帯”(地球表層で二つのプレートが

重なり合う場所において、

 

一方のプレートのもう一方のプレートの

下にみ込む帯状の部分)で

大昔に消滅してしまっているため、

 

その痕跡を追うのは困難である」と、

 

声明の中で述べているのは

ユトレヒト大学の地質学者

ドゥーエ・ファン・ヒンスベルゲン博士だ。

 

 

博士は、

消滅したプレートを調査するために

今回の地質学チームに加わった。

 

 

そして、

プレートが約1億1000万年前に

南極半島の下に潜り込んで

消滅したに違いないという結論に達した。

 

 

「偶然にも、

その一帯で山々が生まれ地殻変動が

起きた時期と重なっていますが、

 

まだ研究がほとんど進んでいません」と

ファン・ヒンスベルゲン博士は言う。

 

 

「当時あった山脈の痕跡は、

今でもはっきりと見ることができます。

 

 

1億6500万年前に形成された溶岩台地

(火山活動によって

玄武岩質の溶岩が大量に噴出し、

 

積み重なってできた大規模な台地)が

沈み込んだ影響で生まれたもので

あると考えられます」

 

 

仮に、プルームや

マントルが急速に変動するのであれば、

 

 

太古の鉱物はとっくに消え去り、

今になって見つかるようなことはないはずだ。

 

しかし、今回の調査結果によって、

その仮説が覆されたと言えるだろう。

 

つまりマントルの挙動は、

これまで考えられてきたよりも

遅くなければならない。

 

「プルームを包み込むマントル自体が、

プルームと同様に静止した状態になければ、

古代の鉱物がそこから出てくるはずがない、

 

というのが私たちの至った結論です」と

ファン・ヒンスベルゲン博士は述べている。

 

 

つまり、

これら古代の鉱物の出現によって、

 

これまで信じられてきたマントルの挙動には

大きな誤りがあったことが示されたということだ。

 

もしこの研究チームの結論が正しければ、

 

私たちの惑星の奥底にある謎が一つ、

新たに解明されたことになるだろう。

 

 

<参考:>