幽霊と生き霊の匂いの違い
霊視芸人のシークエンスはやともさんは、
生き霊と幽霊が見えるという。
生きた人間の思念が生きた人間に
憑りつくのが生霊、
死んでしまった人の意識が幽霊。
生きた人間の意思は強烈で、
はやともさんの目には
「人気の芸能人は巨人に見える」ほど
生き霊が体中に憑りついているらしい。
そしてある時、
はやともさんに興味を持った脳神経学者が
はやともさんの脳を調べた。
脳のどの部位が活性化するのかを
モニターしながら生き霊を見たら、
嗅覚部位が活発化していたのだそうだ。
生き霊は匂いだった?
脳の検査結果が正しければ、
そういうことになる。
ちなみに幽霊の時は脳全体が活性化した。
生き霊と違って、幽霊は匂いだけではないらしい。
霊を嗅ぐ、
奇妙で怪しい匂いの世界を紹介しよう。
一目惚れじゃなくて
ひと嗅ぎ惚れ?
恋愛では体臭が非常に重要な働きをしている。
女性は男性の匂いを極端に嫌うが、
例外もある。
遺伝的に遠い=近親相姦を避けるため、
遺伝病のリスクが低くなる相手の
匂いを好ましく感じるらしい。
皮膚の表面にいる菌が皮脂を分解し、
体臭を発生させる。
この菌の種類が体内の健康状態や
遺伝子で変わるのだそうだ。
そのために体臭は変化し、
一人ひとりの体臭は異なる。
しかも視覚や聴覚と違って、
匂いを受容する嗅覚神経はそのまま鼻の真上、
感情を司る扁桃体と記憶の中心である
海馬を含む大脳辺縁系に直接つながり、
そこから嗅覚中枢で処理される。
匂いは反射に近い。
脳が匂いだと感じる前に、
勝手に感情と記憶を揺さぶるのだ。
一目ぼれというが、
実際は相手を見るよりも先に
ひと嗅ぎで恋に落ちている可能性がある。
匂いで?
わけないと思う人もいるだろう。
しかし匂いの効果は強烈だ。
たとえば、ロート製薬が発見した
女子高生の匂いがある。
ラクトンC10/ラクトンC11という、
乳製品に近い香りだ。
この甘い香りは10~20代女性に
特有の匂いだという。
男性に40代女性の写真を見せて、
「女性らしさ」「若々しさ」「魅力度」の
アンケート評価をとった。
石鹸の匂いを嗅ぎながら
評価した場合を基準値として、
ラクトンC10/ラクトンC11を嗅ぎながら評価すると、
「女性らしさ」115パーセント、
「若々しさ」147パーセント、
「魅力度」174パーセント増となった。
匂いで魅力が魅力が倍増したのだ。
ラクトンC10/ラクトンC11を含む
ボディソープは「DEOCO」という商品になっている。
男性の購入者が意外に多く、
おじさんが
「女子高生の匂いになりました」と
レビューに書いて、
大いに気持ち悪がられているそうだ。
人は嗅覚から老いていく
愛知医科大学の松永正弘らの
研究によれば、
個人的な記憶にある良い香りで
炎症が抑えられるのだそうだ。
被験者に懐かしい思い出の匂いを嗅いでもらい、
脳をPET(脳の血流を調べる装置)で調べ、
同時に血中のサイトカイン濃度の測定した。
サイトカインは抗炎症物質で、
体内にガンのような腫瘍ができると
濃度が高くなる。
実験では、
思い出の匂いで記憶に関係する
部位の内側眼窩前頭皮質と楔前部/
後帯状皮質が活性化、
サイトカイン濃度は減少した。
楽しい思い出で体内の炎症は
収まってしまうらしい。
楽しい思い出に浸ることはなかなか難しいが、
関連する匂いを使えば、それができる。
加齢で嗅覚が鈍くなることはわかっていたが、
死亡率とも関係している。
アメリカで57~75才の人にバラ、革、オレンジ、
魚、ペパーミントの5つの香りを嗅ぐテストを
受けてもらい、
匂いがいくつわかるかを集計した。
匂いがまったくわからなかった人は
普通に嗅ぎ分けた人に比べて、
5年以内の死亡率が4~5倍も高いことがわかった。
人は鼻から老いていくらしい。
鼻炎でもないのに匂いがわからなくなったら
要注意だ。
また嗅覚の低下は
アルツハイマー発症の予兆であり、
メカニズムはまだわかっていないが、
相関関係がある。
鼻炎でもないのに嗅覚が鈍くなったら、
早く病院へ行こう。