テラヘルツ波はこれまで、
技術的な課題やコストの問題などが障壁となり、
発振器や検出器の開発が停滞していた.
6Gが採用され始めるのは
2030年頃からと見込まれているが、
5Gと比べてどこが優れているのだろうか。
まず、
5Gよりもさらに高速化や大容量化、
低遅延といったメリットが挙げられているが、
実はそれ以上に期待されていることが多い。
例えば、
通信エリアも陸上を100%カバーできるほか、
高度1万メートルの上空、
海上も200海里と国内をほぼ網羅でき、
宇宙を含めた3Dな展開が想定されている。
また、消費電力の低減やレベルの高いセキュリティ、
1平方キロメートルあたり1000万デバイスを
超える圧倒的な同時多数接続が可能になるなど、
その可能性は5Gをはるかに凌駕している。
さらにVRやMRなどの仮想現実空間を使った
サイバー空間とリアルな社会との融合、
遠隔医療の進展、
自動車や産業機器なども、
6G通信の採用による飛躍的な
発展が期待されている。
そして、そんな6G通信の鍵となりそうなのが
「テラヘルツ波」だ。
無線通信の高速化には周波数帯域の拡大が
最も効果的といわれている。
6G、さらにはその先の7G通信では、
95G~3THzの周波数帯「テラヘルツ波」、
90G~300GHzの「サブテラヘルツ波」と
呼ばれる高い周波数帯域の活用が検討されている。
テラヘルツ波やサブテラヘルツ波を利用することで、
5Gのミリ波に比較して10倍以上広い
帯域幅を利用できると考えられており、
それに比例して通信速度も10倍以上
速くなると見込まれているのだ。
発振器や検出器の開発が停滞していた。
テラヘルツ波は、
光と電波のちょうど中間領域の電磁波だが、
光として計測するにはエネルギーが低く、
電波として計測するには周波数が
高すぎるので既存の技術では扱いにくいのだ。
また、現状で開発に用いられている
テラヘルツ波の発振器や検出器はサイズも大きく、
実用的とは言えないものが多い。
ところが、
そんなテラヘルツ波を一気に
実用レベルにまで引き上げる技術が登場した。
それが、
日本の電子部品メーカー大手のローム株式会社が
保有する「共鳴トンネルダイオード」だ。
同社は、
従来の一般的なテラヘルツ発振器・
検出器と比較して約1000分の1という超小型で、
超低消費電力なテラヘルツ発振器・
検出器を開発し、
実用化に向けて動き出している。
6G通信の実現は、
単に高速通信というだけでなく、
さまざまな分野で新技術の基盤となり、
社会を大きく変える力を秘めている。
持続的な社会の実現にも欠かせないものだ。
そのキーデバイスとなる
テラヘルツ波デバイスの開発には、
アメリカをはじめ、
他の先進各国の動きも活発になってきた。
未開拓といわれるテラヘルツ波の
最初の開拓者となり、
6G社会で日本がイニシアチブを取れるよう、
日本のエンジニアたちの底力に期待したい。
<参考:藤原伊織>
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