鎌田實医師考案!
合言葉
【あさはきたにぎやかだ】で
低栄養に備えるための食習慣を
本当に摂りたい食品を紹介
年齢を重ねて怖いのは「低栄養」と「骨折」、
そして「認知症」。
これに対して、
「筋肉」と「脳」に効く超優良たんぱく質が
効率的に摂れる食材が「たまご」だ。
若い頃に比べて食欲が低下した
中高年の人たちに特に知ってほしい、
たんぱく質が豊富なたまごの
栄養を生かした食の合言葉が
「あさはきたにぎやかだ」。
中高年の健康増進のお手本・
鎌田實医師の新著『長生きたまご』
教えてくれた人
中高年は
「低栄養に備える食習慣」
をつくろう!
たまごの栄養を活かすために
大事な話をします。
食事全体についての話です。
中高年を迎えると、
若い頃のような旺盛な食欲がない
(お腹が空かない)ことが増えますし、
買い物や調理を負担に感じるときや、
同じものを続けて食べる
「ばっかり食」が増えます。
便秘など排泄の問題や、
睡眠のトラブル、
老いの自覚と暮らしの不安、
身近な人との別離など、
食とは関係ないことも、
食生活に大きな影響を与える
場合もあります。
そこで、しっかり食べられるときから
「ちょっとの工夫」を習慣づけて、
生涯にわたり健康を保つ食事を
していけるように備えましょう。
飽食の時代と言われて久しい現代ですが、
厚生労働省の調査では、
65歳以上の男性で1割以上、
女性で2割以上の人が低栄養とされ、
僕は持病のある人や入院して
治療を受けている人などの場合、
その数はもっと多いと考えています。
他人事ではないのです。
そして僕は、
高齢になって急に低栄養になる
わけではないから、
中高年からそうならない食生活を
習慣にすることが大事だと思います。
そうならない食生活とは、
好きなものだけを食べるのではなく、
ある程度は栄養について
考えて食べる食生活です。
でも、
忙しい毎日、
難しいことは続けにくいですよね。
簡単に、ざっくりとらえて取り組めるように
コツを見出したので、ぜひご活用ください。
それが、
鎌田實考案の
「あさはきたにぎやかだ」です。
健康に良い食生活の合言葉でよく
知られているのは
「まごはやさしい」でしょう。
「豆、ごま、わかめ、野菜、魚、
しいたけ(きのこ)、芋」ですが、
現代の栄養学から考えると、
これでは不十分で、
低栄養やフレイルといった
「健康長寿」を阻む事態を
招く原因になりかねません。
ほかに
「さあにぎやかにいただく」という合言葉も。
「魚、油、肉、牛乳、野菜、海藻、芋、たまご、
大豆製品、くだもの」では、
確かに油や肉、牛乳、たまごを
加えた点で現代栄養学の理にかない、
95歳までぴんぴん元気でいられそう、と思います。
しかし、
僕は「生涯ぴんぴんひらり」、
最期まで自分らしく活動し、
ひらりとあの世に逝くのが希望なので
ブラッシュアップ。
糖化を起こし老化の原因となる
「い(芋)」と「く(くだもの)」は外し、
代わりに「き(きのこ)」
「は(発酵食品)」を入れました。
合言葉であげた食品は10品目。
たまご以外は9品目ですね。
毎日の食事で、
ごはんやパンなど主食以外に
「7品目食べる」を目標にしましょう。
やってみればわかりますが、
それほど難しくはありません。
たとえば納豆は発酵食品で、
大豆ですから、納豆を食べるだけで
2品目食べたことに。
簡単だから、
僕は10品目コンプリートできる日も
結構ありますよ。
難なく7品目以上、
食べる習慣が定着したら、
さらなる工夫を日々の
レクリエーションと思って、
おいしいコンプリートを重ねる。
楽しく、
おいしいことが健康を支えてくれる
ベースになります。
しっかり食べられると気持ちもアップしてきます。
鎌田實考案の
「あさはきたにぎやかだ」
はこれ
あ : 油──良質を積極的に
調理や料理のちょいがけに、
酸化しにくいオリーブオイルや白ごま油が重宝します。
「えごま油」や「アマニ油」など
オメガ3脂肪酸のα‐リノレン酸は熱に弱く
酸化しやすいので、
直接料理にかけ、早めに食べきる。
さ : 魚──缶詰でもOK
生魚に限らず、干物や缶詰、
調理済レトルト食品なども活用して。
青魚の油に含まれるDHAとEPAは
アルツハイマー病と関係する酸化ストレスや
炎症を減らすとされ、
青魚はたまご同様ブレインフード
(本章「たまごは『脳に効く!』ブレインフード」の項)の1つ。
は : 発酵食品──ちょこっと毎食
貯筋とならんで「貯菌」も大事。
毎食、納豆や味噌、ぬか漬け、お酢、
ヨーグルト、チーズなどを少しずつ食べると
腸内の善玉菌が整います。
き : きのこ──干して常備
天日干しで日持ちと栄養価アップ。
食物繊維も豊富で、便秘がちな人は
きのこ数種を干して常備し、
毎食、少しずつ食べましょう。
善玉菌のエサになる繊維の多い
野菜やきのこが「貯菌菌利」を上げてくれます。
各種の善玉菌を摂りながら、
菌糸でできているきのこを摂ることでさらに
貯菌菌利が良くなるのです。
た : たまご──プラス1個
Mサイズ1個あたりたんぱく質は6グラム強。
必須アミノ酸を基準より多く含む
「アミノ酸スコア100」で、
理想的なたんぱく質。
毎食食べることで
1日のBCAAの必要最低量を確保。
普段の食事より「プラス1個」
食べられる工夫をしましょう。
に : 肉──若いとき以上に
高齢になったら筋肉はつきにくくなるので、
若者以上にたんぱく質を摂る必要があり、
肉類も食べなければ、たんぱく質が不足します。
たんぱく質は肉の重量の
2割程度と覚えておきましょう。
定期的に歯医者に通って、
「食べる口」を保つこともお忘れなく!
ぎ : 牛乳──準完全栄養食
三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)、
ビタミン、ミネラルがバランスよく摂れ、
準完全栄養食といえる牛乳。
食事だけで摂りきれない栄養を補ってくれます。
アミノ酸スコアもたまごと同じ100。
とくに朝の1杯は貯筋の助けになり、
就寝1時間前のホットミルク1杯は
良質な睡眠の助けに。
飲むのが苦手な人は、スープや煮込み料理で。
や : 野菜──手のひらで計算
1日350~400gの野菜を摂るのが理想的。
わざわざ量らなくても、
両手のひらにほどよくのる程度の
量を1食分と考えて、3回食べていきましょう。
か : 海藻──頻回食べよう
わかめや昆布、ひじきなどの乾物を常備しておき、
1日のおかずのどれかにちょい足ししたり、
煮物に加えたり、工夫して食べる回数を増やしましょう。
春~秋は、
もずくやめかぶの酢のものなども
食べやすくて重宝です。
だ : 大豆──貴重な植物性たんぱく質
豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品や
蒸し大豆などは手軽に買えて常備しやすいですね。
貴重な植物性のたんぱく源ですから、
飽きないようにレシピを探して、
新しい食べ方をしていくのが◎です。