正解の無い時代を生き抜くために
五感を研ぎ澄ます~
世界的瞑想家ニーマル・ラージ・ギャワリの
リトリートツアー体験レポート
最近、話題のリトリートツアー。
自然豊かな場所でのリラックスや
リフレッシュを目的とした日頃のストレスから
解放される旅として富裕層や
意識高い系層に人気である。
しかし、
現代のビジネスパーソンにこそ、
リトリートは有効なのではないか!?
その事実を検証すべく、
今回、『心が整うマインドフルネス入門:
エグゼクティブが実践するニーマルメソッド』
世界的瞑想家ニーマル・ラージ・ギャワリ氏が
代表を務めるメディテーションテックベンチャー
suwaruが主催するリトリートツアーに参加してみた。
その体験レポートをお伝えする。
心身をホリスティックに
鍛錬することで
整い本来の
ポテンシャルが引き出される
世界的にヴェーダ哲学や東洋思想への注目が
高まっている状況などを紹介しながら、
ニーマル氏のリトリートがいかに現代の
ビジネスパーソンに有効であるかという話をしてきたが、
今回は、2025年5月末に開催された
高野山リトリートの体験レポートをお伝えする。
[総勢参加者35名。さすが、話題の“リトリート”の中でも最先端をいく
ニーマル氏のツアーにたどり着く方々だけあり
会社経営者、著名なエシカルディレクターや人気スタイリストなど、
分野は異なれど、各界の第一線で活躍する
豪華なメンバーが一堂に会するツアーとなった。]
そのうち9割が女性。直感的に今、
何を最優先すべきか、
何が大切なのかを察知して
行動するバイタリティは
女性のほうが旺盛のようである。
従来の固定されたルールや
予測可能性に頼ることが難しいVUCA時代の今、
柔軟性、感受性、共感力、コミュニケーション能力に
長けた女性性的
(決してジェンダーの話でなく、女性性、男性性の話)
感覚が世の動向を牽引していくという
世情が今回のツアーの参加者の男女比にも
如実に反映されているようである。
宿泊は高野山真言宗、
総本山金剛峯寺塔頭寺院、
無量光院。
宿坊とは、
寺院や神社の境内に設けられた宿泊施設で
もともとは巡礼者や参拝者が
宿泊するための場所として発展してきたが、
現代では一般の観光客も利用できる
宿泊施設として人気を博している。
その中でも無量光院は、
その中でも鎌倉時代に開創されたとされており
特に古い歴史を持ち、
約800年の伝統を誇る。普通に宿泊しても、
僧侶の方々と共に朝のお勤めへの参加や写経体験など、
日常とは異なる静かな環境で精神修養や
リフレッシュを目的とした滞在が楽しめる。
健康にも良い伝統的な精進料理も堪能することができる。
修行僧の方々の身の振る舞いを間近で感じ、
都会で慌ただしく働いてる人間の身体性が
いかに乱れているかを感じさせられる。
靴を履き乱して脱ごうものなら、
即座に整頓される。
日々の当たり前の振る舞いの積み重ねに
よって作り出されている場の空気感。
神社仏閣だけでなく、
この地に住まう人々からも
醸し出されているようで、
ここに滞在し、
時を過ごしいてくうちに、
高野山の静寂な空気に包まれて、
参加者一人一人、
いつの間にか自然と身も心も
穏やかに整っていく。
4泊5日のスケジュールは、
朝6時から 90分のニーマルヨガ
(ニーマルはサンスクリット語で”清水”の意味で、
心と体をニーマルな状態に導いていくことを目指し、
古くからの普遍的なヨガを
現代人に向けにアレンジした内容)と瞑想。
朝食後、午前中は、
高野山内のニーマル氏が
セレクトした場所に赴き、
瞑想。
昼食後、
『ヨガスートラ』(ヨガスートラについては
前回をご覧いただきたい)を
学ぶ座学。
夕方から呼吸法、瞑想。
そして夕食。
この決められたスケジュールを
繰り返すわけだが、
この“決めたことを遂行する“ということが
ひとつの修養でもある。
サンスクリット語で「熱」や「熱意」を
意味する「タパス」は、
ヴェーダ哲学
(ヴェーダ哲学についても前回をご覧いただきたい)
の教えでは、
自己規律や自己制御、精神的な行として
重要な徳目とされる。
『ヨガスートラ』の編纂者とされる
古代インドの哲学者パタンジャリは、
「タパス」を「ニヤマ」の一つとして位置づけている。
「ニヤマ」はヨガの「八支則」の
最初の段階であり、
「勧戒」とも訳され、
自己修養や自己管理に関連する
“するべき”規範とされている。
簡単にまとめると、
『ヨガスートラ』での「タパス」は、
内なる意志を鍛え、
継続的に努力することで心身を浄化し、
精神的な成長を促すための
原動力となる行いである。
目標に向かって努力することが求められる
ビジネスパーソン精神鍛錬につながる
大切な教えなのである。
もちろん、
滞在中の行動は各々自由で
厳格なわけではない。
何を感じ、何を手放し、
何を得るかは人それぞれ。
早朝の護摩焚きや、
奥之院の御廟での空海に食事を届ける儀式
「生身供(しょうじんぐ)」の
読経を拝観しにいく者もいる。
既定のメニュー以外にも現地ならではの
サプライズゲストの講義もあった。
今回、
初日の夜は高野山大学から副学長の
密教学科の松長潤慶教授の講義が開催された。
今、高野山大学は
東京大学先端科学技術センターと
現代テクノロジーと1200年続いている
東洋哲学を通して次世代に繋がる
「いのちのあり様」に
関する共同研究を行っている。
先端研と言えば、
日本のアカデミック界最高峰中の
最高峰といる研究所。
日本の最先端の頭脳が今求めているのが
高野山大学の教えなのだ!
松長教授の法話は、
空海の『性霊集』にある「虚空尽き
衆生尽き 涅槃尽きなば
我が願いも尽きん」についてのお話。
自分の目の前に現れた人だけを
救いたいのではなく、
自分が知らない世界で生きている
地球上全ての生き物の幸せを
現実化することを願い、
それが実現したら自分の仕事は終わる…
という空海さんの思いが
込められたありがたきお言葉。
なんともスケールの大きすぎる職務責任感!
なんとも広大な利他の精神です。
しかし、
日本の古き商習慣の慣用句として、
売り手よし、
買い手よし、
世間よしの「三方よし」
という言葉があるように、
自社の利益を追求するだけでなく、
取引相手や社会全体にとってもプラスになるような
商売のやり方が大事とされてきた。
企業の社会的責任や持続可能な
経営の重要性が叫ばれる中で、
再び注目されているビジネス哲学だ。
先端研が聴講を希求する教授の講義は、
ビジネスの本質を改めて
考えさせられる貴重な機会となった。
三日目、
訪れた金剛峯寺でも法話を拝聴。
テーマは曼荼羅。真言宗総本山、
金剛峯寺の教えと修行の根幹を成す
要素として非常に重要とされている曼荼羅だが、
かの大谷翔平選手が目標達成のための
自己管理ツールとして活用した曼荼羅チャートが
話題になったことで耳にした方も多いだろう。
大谷選手の例からも明らかなように、
単なる宗教的シンボルとしてだけではなく、
実生活において自己成長、目標達成、
バランスの取れた生活を実現するための強力な
ツールともなり得るのである。
大谷選手の曼荼羅チャートの構造は、
9×9のグリッドで構成されており、
中央に最も重要な目標を設定し、
その目標を達成するために必要な
8つの具体的な要素を周囲に配置する。
さらに、その8つの要素それぞれに対して、
さらに8つの細かい目標やステップを設定する。
全体で64の具体的な行動計画が
チャート上に展開される仕組みである。
これは人生にも置き換えられるのではないか?
そうするとチャートの真ん中に配される
最も重要なものは何であろうか?
お金?パートナー?子ども?親?まずは、
何よりも自分であろう。
各々が各々の活躍する場所でチャートの
隅のコマにいるのではなく、
中央に主役として陣取って人生とういう
曼荼羅図を展開していく
意識を持つことが大切である…
というありがたいお話。
金剛峯寺で拝聴することで、
ありがたさが倍増され、
これまた心にじわじわとしみいってくる。
この話がされるのを知っていたかのように、
この日の午後の瞑想は、
一人一人が曼荼羅図のように配され、
座し行う瞑想となった。
この瞑想の後、
少ない男性参加者の一人が、
今まで止めていた感情を溢れさせるかのように
大号泣するという一幕もあった。
整った環境で正しい瞑想をすると、
普段ではなかなか難しい
深い内観を得ることができる。
心身の穢れが清められ、
ありのままの感性が発露され、
本来の自分に戻る。
参加者の多くが貴重な気づきを得る
特別な機会となった。
初日の午前中に行われた瞑想も、
“高野山内のニーマル氏がセレクトした場所”で、
とさらっと書いてあったが、その場所は、
高野山のなかでも最も神聖な場所とされる
奥之院の御廟の隣で行われるものだったりしたのだが。
他の高野山リトリートの実状までわからないので、
これがどれだけ希少なケースか判断つきかねるが、
かなり特別中の特別なニーマル氏
スペシャル待遇なのではないかと思われる。
筆者のような私利私欲にまみれた俗人でも
ニーマル氏のリトリートを享受することで、
すっきり心が洗われ生まれ変わったような
気分になったのだからスペシャルな効果は
間違いないと言ってよいだろう。
新しい時代のビジネススキルを
鍛錬できる貴重な機会
このリトリートでヨガや瞑想は単なる
健康のためのエクサイズでなく、
ヴェーダ哲学は、
幸せに生きるための体系だった
フィロソフィーであり科学であることをより
実感させられれた。
テクノロジーの進化や業界の変革に伴い、
職場や業界のニーズに対応できるよう、
新しい分野や役割に適応できる能力を
身につけリスキリングの重要性が高まっている現代。
ビジネススキルアップというと、
資格取得や、
ITやWebマーケティング技術の習得
といった実学重視の左脳的な
テクニ二カルな方向に思いがいきがちだ。
しかし、“コレ”という正解がわかりづらく、
直感やコミュニケーションなど
右脳的な能力が求めれるVUCA時代、
ニーマル氏のリトリートのような右脳と左脳の
バランスをとり、メンタルとフィジカル合わせて、
ホリスティックに身体を整え、
本来のポテンシャルを引き出すことを目指した
本質的で実践的なワークこそ、
現代ビジネスパーソンにとって最も
必要とされるものなではないだろうか?
内側に意識を向け、
本来の自分につながることで、
今までどれだけ、どうでもよい外からの
情報に右往左往させられ、
無駄な力を注いできて
しまってきたかに気づくはずだ。
アメリカの市場調査会社IDCのリサーチによると
2020年の全世界のデジタルデータの総量は、
20年前の約1万倍に増えているそう。
まずは現状の過剰な情報のシャワーを
シャットダウンする場に身を置き、
思考を整理するだけでも、
日々の仕事の質を高めることに
つながりそうである。
それだけでも、
リトリートに参加する意義がありそうだ。
ヨガのポーズでフィジカルな鍛錬し
瞑想で心が正しく働くように調整し、
自律神経や副交感神経整え、
何千年という歴史を誇る
ヴェーダの哲学の
本質的な正しい生き方を学び、
大きな広い視野で、
世のため人のため自分のためになる
働き方を実践し、
ビジネスを展開していく能力を身に付けていく。
これこそが令和のビジネススパーソンの
スタンダードとなっていったら世の中は
もっとより良くなっていくのではないだろうか?
今回のリトリートを終えた各々が家庭や
仕事場に戻ったときに、
今回の体験をどう活かしていくのかが楽しみである。
世界的に、
宗教に特定の所属や信仰を持たないが、
個人的な精神性やスピリチュアリティを重視する
「SBNR」(Spiritual But Not Religiou)
という層が増えてきている。
SBNRは、
特にZ世代の若者や富裕層などをメインに
西洋社会で広がっており自然との調和、
哲学的な探求などを通じて、
自分なりの精神的な道を
見出そうとする傾向がある。
個人の価値観が多様化し、
従来の宗教では提供できない
精神的な支えを求める人々が
増えている現れだろう。
また、環境保護だけでなく、
自然資源や生態系を再生し、
自然の豊かさを取り戻すことを目指す
国際的な取り組みの一環として
「ネイチャーポジティブ(Nature Positive)」
と言うキーワードも注目されている。
自然環境への負荷をを減らし、
長期的に自然の回復を実現することを
目指すこの考え方は、
国や地域だけなく企業の賛同、協力も必須で、
今後ますます重要になるとされいてる。
リトリートツアーは、
こういった世界の最先端かつ最重要な
流れを身をもって体感する貴重な機会となった。
今度、
自身のビジネスをより良く展開するための
知見を得ることができたと確信している。
ストレスフルなオフィスで閉じこもってしまった
ハートを開き、
五感を研ぎ澄ますことで正解の無い時代を
生き抜く新しい時代のビジョンが
生まれてくるはずである。
いきなりリトリートは、
ちょっとハードルが高そう…
という方には、
まず、ニーマル氏の
著書『心が整うマインドフルネス入門:
エグゼクティブが実践する
ニーマルメソッド』読んでみるのをオススメする。
ニーマル・ラージ・ギャワリ氏