筋トレを嗜んでいる人たちの食事といえば、
「鶏むね肉」と「ブロッコリー」を思い浮かべる方も多いと思います。
鶏むね肉はタンパク質も豊富で脂質も低いということから、
筋トレをする人たちに好まれるのでしょう。
しかし、
ブロッコリーはなぜ筋肉にいいのでしょうか。
今回は、
ブロッコリーはほかの野菜と何が違うのか、
筋肉に良い栄養素や効果的な調理方法などについて、
管理栄養士の山本さんに解説していただきました。
なぜブロッコリーは筋肉に
良いと言われている?
考えられる健康効果とは
ブロッコリーが筋肉に良いと言われる理由は何ですか?
山本さん
ブロッコリーは、
野菜の中でもトップクラスのタンパク質含有量を誇っており、
100gあたり5.4gものタンパク質を含んでいます。
また、
ブロッコリーに含まれるジインドリルメタンは、
体内でインドール3カルビノールという物質に変換されます。
このインドール3カルビノールは、
エストロゲン(女性ホルモン)を抑え、
テストステロン(男性ホルモン)の分泌を促すという
研究結果があります。
テストステロンは筋肉増加に効果のある
ホルモンであるため、
筋肉への効果が期待されています。
山本さん
ブロッコリーはアブラナ科アブラナ属の野菜です。
食べているのは葉ではなく、
実は「花蕾(からい)」と呼ばれる蕾です。
ちなみに、
この花蕾は寒くなるとアントシアニン色素を
多く出します。
そのため、
紫がかったブロッコリーを選ぶ方が良いとされています。
ブロッコリーは1日にどのくらい食べたら良いですか?
山本さん
上限量は特にありませんが、
1日100~150g程度を目安にすると良いでしょう。
大きさにもよりますが、
小房に切り分けた状態で10個程度の量です。
1日の野菜の摂取目安量は350gですが、
ブロッコリーだけではなく
様々な野菜を組み合わせて食べることが大切です。
ブロッコリーに含まれる栄養素を紹介
ほかの野菜と比較して何が違うのか
ブロッコリーにはどんな栄養素が含まれていますか?
それぞれの栄養の特徴・筋肉に対する効果を教えてください。
山本さん
ブロッコリーには、ビタミンB群、ビタミンC、
カリウムなどが豊富に含まれています。
ビタミンB群は、
糖質・脂質・タンパク質などを分解し、
エネルギーに変える働きがあります。
タンパク質などを多く摂取するほど、
ビタミンB群の必要量が増えるため、
筋肉のために積極的に摂取したい栄養素です。
ビタミンCは疲労回復や筋肉を修復する効果があるため、
こちらも筋肉のために積極的に
取り入れたい栄養素です。
カリウムは、
体内の余分な水分・塩分を排出する作用があり、
むくみの解消に効果が期待できます。
山本さん
野菜の中でトップクラスのタンパク質含有量を誇り、
ビタミンやミネラルが豊富で、
スルフォラファンを含んでいることが挙げられます。
スルフォラファンとは、
フィトケミカル(植物に含まれる化学物質のこと)の一種で、
強力な抗酸化作用やピロリ菌の除菌、
発がん性物質の解毒などの効果がある、
今注目の栄養素です。
筋肉や筋トレに効果的な
食べ合わせについても教えてください。
山本さん
「アミノ酸スコア」を意識して食材を組み合わせることで、
より効果的に栄養を摂取できます。
アミノ酸スコアとは、
タンパク質における必須アミノ酸の
含有率を数値で示したもので、
上限の100に近いほど
良質なタンパク質であるとされています。
ブロッコリーのアミノ酸スコアは80であるため、
アミノ酸スコアがより高い動物性タンパク質と
組み合わせることで、
さらにバランス良く栄養を摂ることができます。
動物性タンパク質の中でも比較的脂質が少ない
ささみや鶏むね肉、
ノンオイルのツナ缶などを合わせるのがおすすめです。
動物性タンパク質と植物性タンパク質は
何が違うのですか?
山本さん
肉や魚、
卵などに含まれるのが動物性タンパク質で、
大豆やナッツ、
野菜などに含まれるのが植物性タンパク質です。
動物性タンパク質は脂質が多く
アミノ酸スコアも高い傾向にあり、
植物性タンパク質はタンパク質量が
少なめでアミノ酸スコアも低い傾向にあります。
それぞれ足りない栄養素を補いつつ、
脂質などが過剰摂取にならないように
バランスよく組み合わせることが大切です。
ブロッコリーの栄養を
効率よく食べる方法とは
電子レンジ調理がいい?
茎は食べるべき?
山本さん
電子レンジで加熱調理するのがおすすめです。
茹でる調理では、
水溶性のビタミンやミネラル(ビタミンB群、
ビタミンC、カリウムなど)が流出しやすくなります。
ブロッコリーを茹でると、
カリウム量が50%以下になるという研究結果もあります。
電子レンジで調理することでブロッコリーの
栄養を丸ごと食べることができます。
また、煮込み料理やスープにし、
汁まで飲むことで、
流れ出してしまった栄養も残さず
食べることができるためおすすめです。
山本さん
捨ててしまう方も多いかもしれませんが、
実は茎も食べることができます。
意外と甘味があっておいしいですよ。
調理の際は、
皮は厚めにむいて中心部分のみを使います。
蕾の部分と一緒に調理して食べても良いですし、
茎を使ったスープや炒め物などもおすすめです。
山本さん
電子レンジで調理したものと比べると
栄養価は下がってしまいますが、
もちろん市販の冷凍ブロッコリーでもOKです。
一から調理するのが大変な時でも、
手軽に使えるのが良いですね。
山本さん
ブロッコリーは筋肉に良い
栄養素を豊富に含んでいる野菜ですが、
ブロッコリーだけを食べ続けるのは
あまり良くありません。
タンパク質・脂質・糖質のバランスを考慮し、
様々な食材をまんべんなく食べるようにしましょう。
まとめ
ブロッコリーは、タンパク質やビタミン、
ミネラルなどが豊富に含まれているため、
筋肉や筋トレに効果的な野菜であることが分かりました。
しかし茹でる調理をしてしまうと、
その栄養効果が半減してしまうこともあります。
ブロッコリーの健康効果を十分に発揮するため、
調理方法や食べ合わせに気を付けましょう。