これまで、
一般的には人の寿命を人為的に延ばすなど
不可能と思われてきました。
しかし、
近年の科学はそれを可能にするヒントをつかみました。
それがサーチュインです。
そのヒントを基にした研究者の努力により、
人の寿命延長はより現実味を帯びてきたのです。
しかも、
もたらされた長寿は寝たきりや認知症などを伴わない、
いわゆる健康長寿なのです。
このような、
いわば「正しい寿命の延ばし方」を
査読付き論文の研究をベースに解説した
今井伸二郎さんの著書
ザクロにはエラグ酸やプニカラギン、
プニカリンなど複数のサーチュイン
遺伝子発現誘導成分が多く含まれています。
このため、
食品としてサーチュイン遺伝子発現誘導成分を
摂取しようとするなら、
ザクロがおすすめです。
ウロリチンはザクロ自体に含まれているわけではなく、
エラグ酸が体内に入り、
腸内で腸内細菌の作用により
変換されウロリチンとなります。
このウロリチンの作用も相まって、
サーチュイン遺伝子の発現量が
アップすることが期待されます。
ザクロはジュースで飲むのがおすすめ
それでは、
どのくらいザクロを食べればいいのでしょうか?
市販されているザクロジュースには、
エラグ酸が100㎖あたり30㎎程度
含まれている商品もあり、
1日1杯ザクロジュースを飲むことで
健康効果が期待できます。
たまに、
街角で庭木などの観賞用に
栽培されているのを見かけますが、
日本では古くから栽培された果樹の一つで、
果実は食用になります。
残念ながら、
かなりの専門店でない限り果物屋さんや
八百屋さんではあまり目にしないため、
果実から成分を定期的に摂取するのは難しそうです。
そこでおすすめなのがジュースです。
ザクロジュースはさまざまなものが
販売されていますが、
まずは表示を確認し、
果汁量が多い商品を選択してください。
果汁量は100%以上のものがいいでしょう。
「100%以上とわざわざいうことは、
200%のものとかあるの?」と
疑問に思ったかもしれません。
ジュース類は原産地からの輸送コストを抑えるため
濃縮してから輸送し、
販売拠点で加水することで元に戻す
濃縮還元製法が用いられます。
このときに加水量を減らせば、
果汁が100%以上になるケースも出てくるわけです。
ザクロの有効成分は加熱に強いので、
濃縮還元製法のジュースでも成分は
変性することなく有効に摂取することができます。
ザクロのほかに効果があるものは?
エラグ酸に次いでご紹介したいのがルテオリンです。
ルテオリンは、
フラボンとよばれる化学構造の成分ですが、
他のフラボノイドと同じように、
黄色の結晶状の成分です。
天然成分としてルテオリンは、
シクンシ科のミロバランに多く含まれています。
ミロバランはあまりなじみのない名前ですが、
インドからインドシナ半島の熱帯アジアを
原産とした落葉中高木です。
日本にも古い時代に伝わり、
正倉院の『種々薬帳』という書物には、
呵梨勒として紹介されています。
種々薬帳には、
ミロバランは整腸作用や下痢止めの効果がある
生薬(漢方薬)として紹介されています。
ミロバランはタンニンを多く含むため
染色材料としても用いられ、
黄色、カーキー色に染まり、
藍とともに染めると青磁に似た薄い緑色に染まります。
ミロバランにはルテオリンが多く含まれており、
特に葉に多く、
外皮や樹皮にもふくまれています。
シャジクソウ属の花、ブタクサ属の花粉、
サルビア・トメントーサの花にも含まれていますが、
我々がよく食用とする食品としては、
食用菊、セロリ、ブロッコリー、ピーマン、
パセリ、シソ、ニンジンなどにも含まれています。
ルテオリンにはどんな効果がある?
ルテオリンはサーチュインの遺伝子発現をアップしますが、
それ以外にもいくつかの薬理作用が知られています。
抗酸化活性、
免疫系の調整作用、糖尿病の改善作用を持つ
可能性が示されています。
そのほか、
ルテオリンには尿酸値を下げる
作用が確認されています。
中高年の男性が健康診断項目で
最も気になる尿酸値です。
この記事をお読みの方も、
尿酸値が気になるという人は多いのではないでしょうか?
尿酸値の上昇はプリン体とよばれる成分の
過摂取が原因といわれていますが、
必ずしもプリン体過摂取のみが原因ではありません。
むしろ、
肥満や運動不足が伴う場合が多く、
尿酸値の増加予防には食事療法に加え、
脂質代謝を促す運動療法が医師からはすすめられます。
サーチュインの活性化は脂質代謝を促進しますので、
ルテオリンの尿酸値抑制効果には、
サーチュイン遺伝子の発現による
効果が関与しているのかもしれません。
ルテオリンを食品から摂取するには、
最も含有量が多いミロバランを食べればいいのですが、
日本ではほとんど流通していません。
ですので、
おすすめしたいのは食用菊です。
ルテオリンはセロリやパセリにも含まれていますが、
キク科植物は特に多く含まれています。
葉よりも花に多く含まれていますので、
食用菊がおすすめです。
食用菊は鑑賞用の菊と同じ菊の一種で、
特に食用として栽培されている菊を指します。
標準和名はショクヨウギクといい、
食菊、料理菊ともよばれています。
お刺身のつまに小さな黄色い菊が
使われるのをよく見ると思いますが、
これはつま菊とよばれます。
一方で、
花びらのみを食用とする大輪の花を
酢の物などにして食べる場合もあります。
植物学的には観賞用のキクとの
明確な違いはありませんが、
苦味が少なく、味が良く、
比較的香りの少ない品種が選抜され、
品種改良した種類が食用として栽培されています。
花びらの色や品種はかなり多く、
特に新潟や東北地方でよく栽培され、
消費量もこの地区で多いようです。
代表的な品種として「もってのほか」という別名を持つ、
延命楽、高砂、蔵王、阿房宮などがあります。
古代より中国で延命長寿の
花として飲用された
旬は、菊の花が開く、
10~11月とされています。
日本へは天平年間に中国から伝来したといわれています。
当初は観賞用に栽培されたものが、
江戸時代になって本格的に食用が進み、
それに伴い栽培が盛んになったようです。
菊そのものは、
古代より中国で延命長寿の花として
菊茶・菊花酒、漢方薬として飲用されていました。
ルテオリンがサーチュイン遺伝子発現を
促進する効果があることを考えると、
延命長寿の花としての効能は必ずしも
迷信ではなかったといえるのかもしれません。
前述の延命楽は、
奈良時代には日本でも食用菊として栽培されています。
江戸時代に創刊された草本図鑑である
『本朝食鑑』に記述が見られます。
また、
松尾芭蕉は晩秋に滋賀県の近江堅田で
「蝶も来て酢を吸ふ菊の鱠哉」という
俳句を詠んでいるように、
菊を好んで食したようです。