正しい「糖質制限」10か条 間違ったやり方は体調不良の原因に


2023/11/4

正しい「糖質制限」10か条 間違ったやり方は体調不良の原因に

 
 
 
 
 
 

医師が解説、

正しい「糖質制限」10か条

間違ったやり方は体調不良の原因に

 
 
 

医師が解説、正しい「糖質制限」10か条 間違ったやり方は体調不良の原因に

 

江部康二先生は、

1974年に京都大学医学部を卒業後、

1978年から医局長として高雄病院で勤務、

2000年に理事長に就任。

2001年から糖尿病治療の研究に本格的に取り組み、

肥満・メタボリック症候群・糖尿病克服などに

画期的な効果がある「糖質制限食」の体系を確立した。

 

 

 

「血糖値」を直接上げるのは糖質だけ

 

江部:まず、

「糖質制限」と「カロリー制限」はまったく違います。

三大栄養素のタンパク質、脂質、糖質のうち、

「血糖値を直接上げるのは糖質だけ」です。

 

「タンパク質」や「脂質」をいくら食べても、

血糖は上がりません。

 

この生理学的な事実に着目したのが、

糖質制限食です。

 

糖質制限は、血糖をコントロールし、

糖尿病をコントロールできる食事療法です。

上柳:糖質制限では、

具体的に何を制限するのですか?

 

江部:「主食」です。

穀物や芋など、いわゆる「でんぷん」です。

でんぷんさえ制限すれば、

血糖値が上がることはかなり少ないです。

 

上柳:つまり、

でんぷんを食べると体の中で糖分になる、

ということですね。

 

江部:そうです。

人類には700万年の歴史がありますが、

穀物を食べるようになったのが1万年前で、

現在のシリアの辺りで、

麦の栽培が始まったといわれています。

 

日本ではさらに最近の話で、

2500年前の弥生時代以降に米を食べています。

 

700万年という長い人類の歴史の中で、

穀物を食べていた期間は本当に短いんです。

 

上柳:人は狩猟で生きてきた

時間の方が圧倒的に長かったから、

私たちの体は本質的には、

穀物をそこまで必要としていないのですね。

 

江部:おっしゃる通りで、

糖質はゼロでも人は生きていくことができます。

 

上柳:もともと、

穀物を食べなくても生きていける体なんですね。

 

 

糖質制限の10か条

 

(1)糖質の摂取を減らす。

可能なら“1回の食事”の糖質量は

20グラム以下とする。

 

 

約55グラムの糖質があります。
 
 

ということは、

お茶碗半分も食べられないこととなりますが、

先ほども説明したように

“必須糖質”というものはありません。

 

糖質はいらないよね、ということです。

その代わり、魚や肉は食べ放題です。

 

(2)糖質制限した分、

タンパク質や脂質が主成分の食品は

充分量食べる。

 

 

江部:これを10箇条に書いたのは、

皆さん、

「カロリー制限が染み付いているから」です。

 

「糖質制限したついでに、

油っこいものを食べるのも控えよう!」

ということをされてしまうと、

血糖は下がっても摂取エネルギー不足で、

ヘロヘロになって階段を上るのも大変、

ということになります。そういう方は皆さん、

摂取エネルギー不足です。

 

 

こうした勘違いをされる人が多いことから、

糖質制限食のことを、

「脂肪・たんぱく無制限食ですよ」

と私は言っています。

 

 

上柳:お肉はしっかり食べてくださいね、

ということですね。

 

 

江部:そうです。

 

(3)やむを得ず主食(ご飯、パン、麺類など)

をとるときは少量とする。

 

(4)水、番茶、麦茶、

ほうじ茶などゼロカロリー飲料はOK。

 

江部:水、番茶、麦茶、ほうじ茶などは

ゼロカロリーで、糖質もゼロです。

 

 
野菜・海草・きのこ類はOK。くだものは控える。
 
 

江部:人間には、

食物繊維と腸内細菌が必要です。

 

例えば、ブロッコリー、ピーマン、ゴーヤ、

海藻は糖質含有量も少ないのでお勧めです。

 

 

上柳:食物繊維は

善玉菌のエサになると言いますよね。

 

江部:そうです。

 

上柳:くだものは控えた方がいいそうですね?

 

江部:くだものはこの20年~30年で巨大化して、

糖度も甘くなりました。

 

くだものは何となく体にいいような気がしますが、

現在のくだものは、

もはや似ても似つかぬものになっています。

 

上柳:なるほど。

 

食べる時はちょっと気をつけた方がいいですね。

 

(6)オリーブ油や魚油(EPA、DHA)は積極的にとり、

サラダ油などに多く含まれるリノール酸を減らす。

 

江部:サラダ油の主成分はリノール酸で、

必須脂肪酸だから絶対にいるものではありますが、

今の日本人は、必要量の20倍もとっています。

 

ですから、

必須だけどあえて意識して減らしましょう。

 

(7)マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。

 

江部:マヨネーズの成分表示を見ると分かりますが、

糖質の量がかなり少ないんですよ。

 

上柳:これは意外ですね。

 

(8)お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)、

糖質ゼロビールはOK。

 

辛口ワインも適量ならOK。

醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。

 

(9)間食やおつまみは、

チーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。

 

江部:いろんなチーズがありますが、

どれも優秀でほとんど糖質がありません。

 

ナッツはクルミ、松の実、アーモンドなど

糖質含有量が少ないものがあるので、

それらを選ぶと糖質制限食としてより良いです。

 

 

(10)可能なら、

化学合成添加物の入っていない

安全な食品を選ぶ。

 

 

糖質制限はどんな人がするべきか

 

江部:「糖質制限をしなければいけない人」は

糖尿病をすでに患っている人です。

 

「糖質制限を限りなくしなければいけない人」は

メタボや肥満の人。

 

健康な人は、糖質制限をしなくてもいい

要素はありますが、

普通に糖質を食べていると血糖値はかなり上がり、

その時に「活性酸素」が出ます。

 

血糖値が上がって、

それを下げるためにインスリンがドンと出ると、

ここでも「活性酸素」が出ます。

 

 

酸化ストレスは、ガンやアルツハイマーなど

「万病の元」と言われています。

 

 

糖質を摂取すると酸化ストレスが増してしまうのは、

糖尿病の人に限らず、健康な人でも同じです。

 

 

 

医師が解説、正しい「糖質制限」10か条 間違ったやり方は体調不良の原因に

 

 

江部先生も糖尿病を経験した

 
 

上柳:高雄病院には江部先生のお兄様もいて、

二人三脚で糖質制限というものを

提唱されているそうですね。

 

江部:最初に始めたのは兄でして。

1999年に始めたんですが、

私は『兄がまた変なことをやっているな』

と思って無視していたんです(笑)

 

 

上柳:無視(笑)

 

江部:ところが2年間の結果を見ると、

「糖質制限食は糖尿病に劇的に有効ではないか」、

ということが分かったんです。

 

そして私も2001年から、

糖質制限食を糖尿病患者さんに

適用し始めたわけです。

 

上柳:実は江部先生ご自身も、

糖尿病になっていたそうですね?

 

江部:そうなんです。

いわゆる健康食と言われる

玄米、魚、菜食を食べていたのですが、

ある日、糖尿病になってしまいました。

 

34歳の時から玄米、魚、菜食という食事でしたが、

52歳で糖尿病を発症したのです。

 

しかも、周囲の同年代の方に比べたら、

私は週1回テニス、週1回ジムに行って

健康的だったはずなんですよ。

 

 

日本の糖尿病患者数は、

生活習慣と社会環境の変化に伴って

急速に増加している。

 

江部先生も、健康的な食事や運動を心がけ、

糖尿病治療の研究に取り組んでいたが、

自身も糖尿病を発症。しかし、

「糖質制限食」を実践して糖尿病を克服したという。

 

 

糖尿病は放置すると

網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、

末期には失明したり

透析治療が必要となることがある。

 

「自分は健康食をとっているから大丈夫」

という人も、

基本の「糖質制限の10か条」を確認し、

いま一度、毎日の食事を見直してみては。

 

 

 

<参考:江部康二先生>

 

 

1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
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