「日本人」、
じつは「酒が飲めなくなる」ように
進化していた…
その「驚きのワケ」
親から受け継いだ遺伝子は
一人一人の体の設計図、
すなわちゲノムは、
わずか0・1%しか違わないと報告されています。
けれども、
よくみればDNAが1文字だけ異なる
一塩基多型(SNP)をはじめ、
細かな違いが無数にあって、
SNP1個で体質が
がらりと変わることもあります。
では、
日本人のゲノムにはどんな特徴があり、
その特徴はどのように作られてきたのでしょうか。
本章で取り上げるのは、
第1章で出てきた図1‒4の(1)にあたる、
基本的に生涯変わらない部分です。
2020年に興味深い論文が
公表されました。
日本人17万人のゲノムをもちい、
遺伝子変異が起きた時期と、
それがどのように伝わってきたのかを
コンピューターを駆使して探索したものです。
すると、
過去1万~2万年のあいだに
変異が起きた遺伝子のうち、
29個が世代をへるごとに
それぞれ一定の方向に体の特性を
変化させてきたことがわかりました。
このなかでもっとも強い動きが
「酒に弱くなる方向への進化」でした。
飲めるようになるならともかく、
飲めなくなるなんて進化といえるのかと
思った人がいるかもしれませんが、
ここでいう「進化」は日常会話で使う
「進化」とは意味が異なります。
専門用語では適応進化といい、
生存に有利な特性を獲得することを指します。
つまり、
日本人は酒に弱いほうが生存に
有利だったということです。
いったい、なぜでしょうか。
稲作は7000~8000年前に、
現在の中国を流れる長江が
東シナ海にそそぐ地域で
始まったと考えられています。
じつは、
ここは酒に弱い人の割合がもっとも高い
地域でもあるのです。
図2‒1の2枚の地図をくらべてみてください。
飲んだアルコールは肝臓で分解されて
アセトアルデヒドという有害物質に
変わりますが、
酒に弱い人はアセトアルデヒドを
分解する酵素を作る力が低いため、
アセトアルデヒドが体に長くたまります。
さまざまな病原体の温床となった水田
水田は実りをもたらす一方で、
古い時代にはさまざまな病原体の
温床となりました。
たとえば、
肝臓に重い障害が起きる日本住血吸虫症は、
水田や湿地に暮らすミヤイリガイという
小さな貝が媒介します。
貝の中で増えた日本住血吸虫の幼虫は
水温が上がると水中に泳ぎ出し、
素足で水田に入った人の皮膚から侵入します。
<参考:奥田昌子医学博士>
1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
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