納涼祭、怖い話 | |
近代都市に潜む 第1話 お手伝い コインランドリーで洗濯をしていると、小6くらいの女の子が 入ってきた。 乾燥機の仲を懸命に確認しているから、何か忘れものでも したのかと思い可愛そうになって「何か探してるの?」 と聞いたところ、小さな声で「洗濯物、なくしちゃった・・」と。 お手伝いしてんのか、えらいなーとか思いながら「何をなくしたの? くつ下とか?」と聞いたが答えない。 7つの乾燥機をすべて探したが見つからなかったようで「はぁ・・」 とひどく落ち込んでいる。 私はふとひらめいた、もしかしたら乾燥機ではなく洗濯機の方に 取り忘れて残っているのではないかと。 そこで「使った洗濯機の方も探してみたら?」と言った。 そしたらその子はすぐに洗濯機の中を探した。 「あった!」うれしそうな女の子の声が室内に響いた。 「良かったね」と見ると女の子の手には意外なものが握られていた。 男性用の下着だった。トランクスと呼ばれるものだった。 てっきり、くつ下か、ハンカチかと思っていたので少し驚いた。 でも考えてみれば家族の手伝いで来ているのだから、 父親の下着が混ざっていても不思議ではない。 少女は元気に帰っていった。 後日、ニュースで近所の女の子が父親に虐待され死亡したのを 知った。 理由は洗濯物の手伝いをした際、父親の下着をなくして、 それに逆上した父親が首を絞めて殺害したそうだ。 ここは父子家庭で、しつけと称して普段からすべての家事を この子に押しつけていたそうだ。 日付から言ってコインランドリーに来たあの子であることは 間違いないのだが、どうして下着は見つかったのに 殺されたんだろう。 そういえばあの子だけ自動ドアが反応しないから、 裏のドアから帰って行ったっけ・・・ 第2話 理想の彼氏 ネットで彼氏ができるとは思っていなかった。 健全なお見合いサイトで気が合いそうな人がいたから 連絡を取り合っていたら「まだ会ったことないけど彼女になってよ」 と言われ承諾した。 友達に言ったら笑われたが、私は私なりに真剣だった。 会ったことがないと言っても顔は知っている。 画像を交換したのだ。 自分でいうのも照れくさいが、かなりのイケメンだ。 その上、優しくて気遣いが良い。 これなら実生活も問題ないと想像させるくらい理想の彼氏だった。 当然、会いたくなり何度か試みたが上手くいかなかった。 彼との予定が合わなかったのもあるが、そもそも遠方なので 合うとなると2日の休みは必要となる。 そんな中でも彼は「このままじゃダメだから、今度会おうと」と 言ってくれた。 彼はエンジニアで有名なソフト開発・管理部の中心的メンバー だった。 だから信じられないが会社がオフィスに彼専用のライフルームを 用意してくれて、彼はほとんどそこで生活をしているようだった。 いつも忙しく外に出る時間もないから、誰もいない休日に そのライフルームで会うことになった。 他の社員とはフロアも別で本当に彼の自宅みたいになっている そうだから、それはそれでいいのかなと思ったりしていた。 新幹線に乗って彼の家というか彼の会社に着いた。 想像していた通りガラス張りの実に巨大なビルだった。 セキュリティも万全だった。 彼から送ってもらったQRコードをかざして中に入った。 ロビーはシンプルな大理石で閑散としていて、 エレベーターまで少し疲れるくらい歩かされた。 彼は最上階の45階で待っている。 高速エレベーターで上がって街が一望できる廊下をひたすら歩いた。 「ごめんね、もうすぐだから」彼から励ましのラインが来たから 頑張れた。「LGHD0256」と書かれたプレートの前に来た。 意味は分からなかったが、たぶん重要な部屋なんだという事は 私にも分かった。 映画でしか見たことのない網膜認証で部屋に入った。 部屋は端っこが見えないくらい大きなフロアで黒光りした コンピーターがずらりと並べられていた。 彼の指示通り、ちょうど真ん中の円形になったコンピーターの 所まで来た。 ブルーの光がくるくる回っていて少し怖かった。 私は「ねぇ、どこにいるの?もういい加減出てきてよ」と言った。 すると彼はこうラインを返してきた。 「何言っているの、すぐ目の前にいるじゃん」 コンピーターのブルーの光がくるくると回っていた。 1喧嘩はするな、 2意地悪はするな、 3過去をくよくよするな、 4先を見通して暮らせよ、 5困っている人を助けよ、
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